新型インフルエンザの流行によって、厚生労働省では優先的に審査を実施し、タミフル、リレンザに続く第3のインフルエンザ治療薬(一般名;ペラミビル 商 品名;ラピアクタ)が1月13日に世界で始めて承認されました。
タミフルは内服薬、リレンザは吸入薬で、いずれも5日間投与が必要であるのに対して、「ラピアクタ」は点滴薬で、外来で約15分程度の投与で効果がありま す。
「ラピアクタ」は、点滴薬のため、人工呼吸を装着しているような重症患者に対しても投与できるなど治療の選択の幅も広がります。
現時点での対象患者は15歳以上の新型を含むA、B型インフルエンザ患者に限られていますが、今後小児用についても追加申請を行う予定です。
「ラピアクタ」は、「タミフル」と同じようにウィルス表面にある酵素の働きを邪魔することで感染が広がらないようにする薬ですが、代表的なインフルエン ザ治療薬のタミフルの作用する酵素が1箇所であるのに対して、ラピアクタは3箇所に作用するため、近年問題となっているタミフルの耐性ウィルスに対しても 効果が期待でき、効果がより一層強いと考えられます。さらに投与経路が点滴であることから消化器系への副作用も少ないと考えられます。
一方で、通常は新薬の申請から承認まで約1年かかるのに対して、約3ヶ月の異例のスピードで承認を得た新薬であることから、今のところは、重篤な副作用は 報告されていないようですが、今後の副作用の情報収集にも全力をあげて取り組む必要があります。