大阪大の吉森保教授(細胞生物学)らの研究グループは13日、肝臓に中性脂肪がたまる脂肪肝が、脂肪などの分解作用を抑えるたんぱく質の増加によって引き起こされることを解明したと発表した。脂肪肝の治療薬の開発につながる可能性を秘めた研究成果という。
脂肪肝は、栄養やアルコールの取りすぎで起こる生活習慣病。日本では4人に1人が患っているとされる。重症化すると肝がんや肝硬変になるが、生活習慣の改善以外に有効な治療法はない。脂肪肝の肝臓では、脂肪など細胞内の不要物を分解する「オートファジー(自食作用)」の働きが弱まっていることが知られていたが、詳しいメカニズムは分かっていなかった。
吉森教授と大阪大の竹原徹郎教授(消化器内科)らのグループは、オートファジーを抑える働きを持つたんぱく質「ルビコン」に着目。マウスに脂肪の多い餌を与えたところ、肝臓でルビコンが増えることを確認した。また、遺伝子操作でルビコンが働かないようにしたマウスは、脂肪を取り続けても肝臓に脂肪がたまりにくいことが分かった。
吉森教授は「ルビコンの働きを抑えることで脂肪肝を治療できる可能性がある」と話す。
(2016年9月13日 毎日新聞)