ワクチンの効き目は接種する時間帯によって変わることをマウスの実験で明らかにしたと、大阪大のチームが発表した。
集中力などを高める交感神経が働く時間帯ほど効き目が高まるとみられ、人間の場合、午前中の接種が理想という。論文が31日、米科学誌電子版に掲載された。
チームは、1日間でマウスの免疫細胞と交感神経がどのように変動するか分析。免疫細胞の量は、夜行性のマウスで交感神経の働きが高まる午前1時頃が最も多く、交感神経の働きが鈍る午後1時の約2倍だった。
免疫細胞が多い午前1時に実験用のワクチンをマウスに打ち、免疫細胞が細菌などを攻撃する際に出す抗体の濃度で効果を調べた結果、5週間後の抗体濃度は、午後1時に打った場合の約4倍に高まった。交感神経が高まる際に分泌される神経伝達物質の働きが、免疫反応を高めるとみられる。阪大の鈴木一博・特任准教授(免疫学)は「交感神経が高まる午前中にワクチンを接種すれば、ワクチンが効きにくい人でも効果が得られる可能性がある」と話している。
(2016年11月1日 読売新聞)