医療機関向けAHCCは、補完代替医療の一環として、かねてより臨床の現場でも治療の補助として使用されており、高い評価を頂いている健康食品のひとつです。
AHCCの基礎研究報告はもちろんのこと、臨床報告の積み重ねの中、今では特定臨床研究も行われています。
特定臨床研究とは、2018年に施行された「臨床研究法」に基づき、厚生労働省が認定した倫理委員会で審査が行われ、当局が管轄する臨床研究データベース(jRCT)に登録され、公表されているものです。
「jRCT」のページでAHCCを検索すれば、例えば、関西医科大学附属病院の「切除不能膵癌に対するAHCC投与第Ⅱ相比較試験」や、北海道大学大学院医学研究院(北海道大学病院)の「AHCCの尿路上皮癌における化学療法の骨髄抑制軽減効果を検討する臨床研究」、「AHCCによるレンバチニブ療法の副作用軽減効果の検討」、「AHCC摂取によるヒトパピローマウイルス消失効果を検証する研究」などが公表されています。
この度、これらの特定臨床研究についての詳細や、その他AHCCの研究についての概略などを北海道FM放送(FMアップル「香るパラダイス(2024年5月13日放送)」の中で紹介されています。ぜひ、ご覧いただければと思います。
(YouTube(https://www.youtube.com/watch?v=dIozqob_vM&t=156s)参照)
医療機関向けAHCCは、このように厳しい基準にそって質の高い臨床研究が行われている健康食品であることから、先生方も自信をもって患者様に推奨して頂けるもののひとつと思います。
Posts by
AHCC 臨床研究が着実に進む!~特定臨床研究を中心に~
いわゆる「睡眠薬」のお話
睡眠薬と聞けば、依存性が高いお薬で使用を避けたいと思われる方も多いかも知れませんが、それは古くから使用されている「ベンゾジアゼピン系」、または「非ベンゾジアゼピン系」に分類されている一般的な睡眠薬をイメージされるからだと思います。
実は睡眠薬には、そのメカニズムの違いから「①脳機能を低下させるお薬」と「②自然な眠気を強くするお薬」の二つに分類することができます。
脳機能を低下させるお薬は、少し乱暴な言い方になりますが、激しい運動をしたときや、風邪をひいて免疫力が低下した時など、「体が疲れきって眠くなる」状態のイメージです。
覚醒に働いている神経活動を抑えて、要は強制的に眠らせてしまうお薬です。
これだけ聞くと怖いイメージがあるかも知れませんが、最近のお薬は昔のお薬と違って、依存性も低く、安全な薬ですので安心してご使用していただいて大丈夫です。
脳機能を低下させる睡眠薬に対して、例えばロゼレム(一般名;ラメルテオン)という、体内時計のリズムを整えている「メラトニン」というホルモンに働きかけ、睡眠を促すお薬があります。
体内時計のお話もこの「くすりの話」で何度かさせて頂いていますが、夜更かしや寝る前のパソコン、ゲーム、明るい部屋での睡眠などで体内時計にずれが生じて質の良い睡眠が十分に確保できないことが多くなる傾向が問題になっています。
ロゼレム(一般名;ラメルテオン)は、その体内時計のリズムをリセットする方向に働きかけ、自然な睡眠を促すお薬ですので依存性などの心配もありません。
ところで、食事をした後に眠気を催すことはよく知られていますが、それはどうしてかご存知でしょうか。食事をすることによって血糖値が上昇するからと答える方が多いと思いますが、血糖値が上昇することによりオレキシンという物質の活動が低下することによって眠くなるのです。
オレキシンは食欲中枢から発見された物質ですが、動物は空腹になれば「餌」を探す行動をとるため、常に敵と隣り合わせで意識を覚醒しておくことが必要で、そのためにオレキシン作動性ニューロンという神経細胞が活発に働くことで覚醒しています。
一方、満腹になって血糖値が上昇すれば、オレキシンの活動が低下し眠気を催してくるのですが、その作用を利用してデエビゴ(一般名;レンボレキサント)というお薬も発売されています。
デエビゴは、オレキシン受容体拮抗薬と呼ばれ、オレキシンの働きをブロックすることで自然な眠気を誘導するお薬です。
ロゼレムもデエビゴも自然な眠気を誘導するタイプの新しいお薬ですので、さすがに入眠障害に対しては効果が期待しづらいと言われていますが、中途覚醒や早朝覚醒、熟眠障害などには有効です。
ロゼレムとデエビゴは、作用する場所が異なりますので、場合によっては併用も可能です。
自然な眠気を強くするタイプのお薬は、体内時計のずれが原因と考えられる睡眠障害が増えている現在社会において、このタイプのお薬の開発が進み、今後はこのタイプの睡眠薬が主流になってくる時代がやってくるかも知れません。
ビタミンDのがん免疫を促進する意外なメカニズム
7月の代替医療健康食品通信で、「脳-腸相関」についての研究が本格的にすすみはじめ腸内細菌のかかわりについても少しずつ明らかになりつつあることをお伝えしました。
今月号は、それにも関連した話題にはなりますが、「ビタミンDのがん免疫を促進する意外なメカニズム」についてお伝えします。
ビタミンDは、骨代謝にかかわるビタミンとしてよく知られていますが、日光を浴びることにより体内で合成することもできるビタミンであることから、あまり注目されていませんでした。
しかし、まだまだエビデンスに乏しいものもありますが、パーキンソン病やアルツハイマー型認知症の予防改善の可能性の他、免疫力を高める作用が知られています。
免疫力を高める作用については、核内受容体に結合して様々な分子の転写を促進することによるという考えもありましたが、腸内上皮細胞に作用しBacterioides fragilisという細菌が腸内で増える結果、がん免疫が増強されることがわかり、科学雑誌「Science」(4月26日号)で報告されました。
ビタミンDで上皮が刺激されることでおこる腸内細菌叢の変化を調べたところ、Bacterioides fragilis のみが増加しており、Bacterioides fragilisを正常マウスに移植するとがん抑制が誘導され、この効果はビタミンD欠損食で消失することを確認しています。
人間のデータベースからビタミンD受容体の感受性が高い患者さんはがんの生存率が高いことや、ビタミンD濃度の低い患者さんはがん発生率が高いなどが知られていますが、Bacterioides fragilisの関与についてはまだ明らかにされていません。
ビタミンDの作用については、最近、東京慈恵会医科大学の研究で、ビタミンDサプリメントの摂取と癌死亡率低下の可能性についても発表されています。
統合医療を実践する医師の中でも、免疫力を高めることが期待できる健康食品とともに、ビタミンDなどを含む総合ビタミンの摂取を推奨しているグループもあります。
ビタミンCの抗酸化作用などを含めていままでにもよく知られている作用に加えて、いままで知られていなかったビタミンの様々な作用が発見されています。
例えば、ビタミンB2は、ミトコンドリア活性作用が知られるようになりました。
ミトコンドリア活性作用で期待できる作用として、認知症やパーキンソン病の予防・改善作用、がん細胞のアポトーシス誘導作用などの他、実に様々な作用が期待できます。
がん補完代替医療を実践されている方は、コスト的にも負担が少ないことから可能であれば総合ビタミンサプリメント、または総合ビタミン配合の医薬部外品の摂取も併せて考慮しても良いかも知れません。
ビタミンDのがん免疫を促進する意外なメカニズム
以前のくすりの話で、「脳-腸相関」についての研究が本格的にすすみ始め腸内細菌のかかわりについても少しずつ明らかになりつつあることをお伝えしました。
今月号は、それにも関連した話題にはなりますが、「ビタミンDのがん免疫を促進する意外なメカニズム」についてお伝えします。
ビタミンDは、骨代謝にかかわるビタミンとしてよく知られていますが、日光を浴びることによって体内で合成することもできるビタミンであることから、あまり注目されていませんでした。
しかし、まだまだエビデンスに乏しいものもありますが、パーキンソン病やアルツハイマー型認知症の予防改善の可能性の他、免疫力を高める作用が知られています。
免疫力を高める作用については、核内受容体に結合して様々な分子の転写を促進することによるものと考えられていましたが、腸内上皮細胞に作用しBacterioides fragilisという細菌が腸内で増える結果、がん免疫が増強されることが科学雑誌「Science」(4月26日号)で報告されました。
ビタミンDで上皮が刺激されることで起こる腸内細菌叢の変化を調べたところ、Bacterioides fragilis のみが増加していることがわかり、Bacterioides fragilisを正常マウスに移植するとがん抑制が誘導され、この効果はビタミンD欠損食で消失することを確認しています。
人間のデータベースからビタミンD受容体の感受性が高い患者さんはがんの生存率が高いことや、ビタミンD濃度の低い患者さんはがん発生率が高いなどが知られていますが、Bacterioides fragilisの関与についてはまだ明らかにされていません。
最近、東京慈恵会医科大学の研究で、ビタミンDサプリメントの摂取と癌死亡率低下の可能性について発表されていまます。
統合医療を実践する医師の中でも、免疫力を高めることが期待できる健康食品とともに、ビタミンDなどを含む総合ビタミンの摂取を推奨しているグループもあります。
ビタミンCの抗酸化作用などを含めていままでにもよく知られている作用に加えて、いままで知られていなかった様々な作用が発見されています。
例えば、ビタミンB2は、ミトコンドリア活性作用が知られるようになりました。
ミトコンドリア活性作用で期待できる作用として、認知症やパーキンソン病の予防・改善作用、がん細胞のアポトーシス(自滅)誘導作用などの他、実に様々な作用が期待できます。
がん補完代替医療を実践されている方は、コスト的にも負担が少ないことから、可能であれば総合ビタミンサプリメント、または総合ビタミン配合の医薬部外品の摂取も併せて考慮しても良いかも知れません。
腸内細菌と病気の予防と治療の関係~ 今後の研究の進展に期待! ~
脳と腸は常に情報を交換しあってお互い影響を及ぼすことが徐々に解明され、やっと最近になって「脳-腸相関」についての研究が本格的にすすみ始めています。
その中で、腸内細菌のかかわりについても少しずつ明らかになりつつあり、どの腸内細菌がどのような疾患にかかわっているかというところまでわかりはじめてまいりました。
しかし、まだまだわかっていないことの方が多いというのが現況です。
乳酸菌が免疫力を高める作用が期待できることはすでによく知られていますが、それ以外にも、睡眠や抗アレルギー作用に乳酸菌入り飲料やヨーグルトが発売されていることからもわかるように腸内細菌は様々な疾患とかかわりをもっています。
そもそも脳腸相関における腸内細菌のかかわりが世界でも注目されるようになったのは、腸内細菌を持たない無菌マウスを用いた研究報告が発表されてからです。
無菌マウスは腸内細菌を持つ通常マウスに比べ、ストレスに対して過敏であること、脳の神経系を成長させるための因子が少ないことなどが分かり、無菌マウスに通常の腸内細菌を移植すると多動や不安行動が正常化するという報告などから、腸内細菌はストレスの感じ方や脳の神経系の発達・成長、そして行動に関わる存在であることが示唆されています。
さらに最近の研究で、がん免疫治療薬(オプジーボなど)と腸内細菌とのかかわりについても知られてきました。
がん免疫療法は、手術・放射線・抗がん剤治療に続く「第4のがん治療法」と言われており、抗がん剤や分子標的薬などと比べても、がん免疫治療薬の効果が出て3年間生きられると、5年、10年と再発が抑えられる可能性が高いと言われています。
その中で、腸内細菌叢の環境を整えることでがん免疫治療薬の効果を高める可能性について昭和大学医学部で研究が進められています。
昭和大学医学部で研究されるようになったきっかけは、「腸内細菌の違いによって、がん免疫治療薬の効果が左右される」というマウスを使った研究報告でした。
同じ種類と同じ週齢のマウスであるのに、飼育先の会社によってがん免疫治療薬の効果が違うことに気づいた海外の研究チームがその原因を探ったところ、餌などの飼育環境の違いによって治療薬の効果を左右していることや、無菌マウスにがん免疫治療薬を与えても治療効果が現れないことがわかりました。
これをきかっけにヒトでも検証を重ねた結果、がん免疫治療薬の治療効果のなかった患者の腸内細菌に比べて、治療効果のあった患者の腸内細菌は多様性に富んでいることや、治療前に抗生物質を服用している方はがん免疫治療薬の効果が現れにくいことなどがわかりました。
さらに、昭和大学の研究チームデータ分析から、オプジーボの効果があった患者さんの腸内にビフィズス菌が多いことや、腸内細菌の多様性があったこともわかっています。
まだまだ腸内細菌と病気についての解明は研究途上にありますが、今後ますます解明されていくことを期待します。
腸内細菌と病気についての詳細がまだ明らかになっていない現時点では、日常的に乳酸菌やビフィズス菌入りの飲料やヨーグルトの積極的な摂取、およびオリゴ糖や食物繊維の積極的な摂取などの他、例えばエンテロコッカス・フェカリス菌配合サプリメントの積極的な摂取なども補完代替医療の立場から有用かも知れません。
「腸内細菌と病気の予防と治療」の関係~今後の研究の進展に期待!~
脳と腸は常に情報を交換しあってお互い影響を及ぼすことが徐々に解明され、やっと最近になって「脳-腸相関」についての研究が本格的にすすみ始めています。
その中で、腸内細菌のかかわりについても少しずつ明らかになりつつあり、どの腸内細菌がどのような疾患にかかわっているかというところまでわかりはじめてまいりました。
しかし、まだまだわかっていないことの方が多いというのが現況です。
乳酸菌が免疫力を高める作用が期待できることはすでによく知られていますが、それ以外にも、睡眠や抗アレルギー作用に乳酸菌入り飲料やヨーグルトが発売されていることからもわかるように腸内細菌は様々な疾患とかかわりをもっています。
そもそも脳腸相関における腸内細菌のかかわりが世界でも注目されるようになったのは、腸内細菌を持たない無菌マウスを用いた研究報告が発表されてからです。
無菌マウスは腸内細菌を持つ通常マウスに比べ、ストレスに対して過敏であること、脳の神経系を成長させるための因子が少ないことなどが分かり、無菌マウスに通常の腸内細菌を移植すると多動や不安行動が正常化するという報告などから、腸内細菌はストレスの感じ方や脳の神経系の発達・成長、そして行動に関わる存在であることが示唆されています。
さらに最近の研究で、がん免疫治療薬(オプジーボなど)と腸内細菌とのかかわりについても知られてきました。
がん免疫療法は、手術・放射線・抗がん剤治療に続く「第4のがん治療法」と言われており、抗がん剤や分子標的薬などと比べても、がん免疫治療薬の効果が出て3年間生きられると、5年、10年と再発が抑えられる可能性が高いと言われています。
その中で、腸内細菌叢の環境を整えることでがん免疫治療薬の効果を高める可能性について昭和大学医学部で研究が進められています。
昭和大学医学部で研究されるようになったきっかけは、「腸内細菌の違いによって、がん免疫治療薬の効果が左右される」という、マウスを使った研究報告でした。
同じ種類と同じ週齢のマウスであるのに、飼育先の会社によってがん免疫治療薬の効果が違うことに気づいた海外の研究チームがその原因を探ったところ、餌などの飼育環境の違いによって治療薬の効果を左右していることや、無菌マウスにがん免疫治療薬を与えても治療効果が現れないことがわかりました。
これをきかっけにヒトでも検証を重ねた結果、がん免疫治療薬の治療効果のなかった患者の腸内細菌に比べて、治療効果のあった患者の腸内細菌は多様性に富んでいることや、治療前に抗生物質を服用している方はがん免疫治療薬の効果が現れにくいことなどがわかりました。
さらに、昭和大学の研究チームデータ分析から、オプジーボの効果があった患者さんの腸内にビフィズス菌が多いことや、腸内細菌の多様性があったこともわかっています。
まだまだ腸内細菌と病気についての解明は研究途上にありますが、今後ますます解明されていくことを期待しています。
腸内細菌と病気についての詳細がまだ明らかになっていない現時点では、日常的に乳酸菌やビフィズス菌入りの飲料やヨーグルトの積極的な摂取、およびオリゴ糖や食物繊維の積極的な摂取などの他、例えばエンテロコッカス・フェカリス菌含有サプリメントの積極的な摂取なども補完代替医療の立場から有用かも知れません。
サルコペニア肥満は総死亡リスクを高める?
サルコペニアは、加齢による筋肉量の減少および筋力の低下により発症し、歩いたり立ち上がったりする日常生活に影響を及ぼし、介護が必要になったり、転倒するリスクが高まるなどの他、各種疾患の重症化や生存期間にも影響することから注目されている疾患です。
この度、フランスCentre de Recherche en Nutrition HumaineのElizabeth Benz氏らは、オランダのRotterdam Studyを利用して、サルコペニアとサルコペニア肥満(SO)に該当する高齢者を同定し、サルコペニアではない高齢者と総死亡リスクを比較するコホート研究を行い、サルコペニアやSOの人は死亡リスクが高かったことを、2024年3月25日のJAMA Network Open誌電子版にて報告しています。
著者らは、サルコペニアとSOは高齢者に少なからず存在し、総死亡リスクの増加と関連が見られたと結論づけ、サルコペニアの初期に認められる筋力の低下を指標にすれば、生活改善を中心とする介入で、死亡リスクを減らせる可能性が示唆されたと述べています。
ところで、サルコペニアを発症するひとつの原因として、骨格筋に豊富に存在するミトコンドリア数の減少や機能異常がよく知られています。
その他にも、ミトコンドリアの減少と疾患との関係は良く知られていることから、健康を維持していく上で、細胞内のミトコンドリアを増やすことや、活性化させることが有用であると考えられます。
最近、細胞内のミトコンドリア新生作用として注目されているNMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)が注目されていますが、NMNよりも三菱ガス化学が製造する「BioPQQ」の方がはるかに効果が高いことがin vitroで確認され(約1000倍)、ミトコンドリア新生作用と活性化作用が期待されるサプリメント成分として「BioPQQ」がにわかに注目を集めています。
「BioPQQ」を用いた研究では、その他にも「睡眠の質改善作用」、「健康な中高齢者に対する注意力やワーキングメモリーの維持作用」、「ストレス改善作用」など多数の研究報告がされています。
先発医薬品の自己負担額が増える?!
10月より、先発医薬品が処方された場合は、特別な理由を除いて、一部保険給付の対象から除外され、自己負担額が増えます。
この度の調剤報酬改定により、後発医薬品のある先発医薬品(いわゆる長期収載品)が処方された場合に、後発医薬品との差額の一部を保険外適応として「選定療養」とすることが決定しました。
「選定療養」とは、健康保険に加入している患者さんが、追加費用を自己負担することにより、保険適用外の治療を、保険適用の治療と併せて受けることができるようにすることです。
選定療養扱いになると、1割や3割といった負担割合ではなく、その一部が保険外の扱いとなって自己負担が増える仕組みです。
この度の調剤報酬改定では、後発医薬品の上市後5年以上経過した長期収載品、または後発医薬品置換率が50%以上となった収載品が対象で、後発医薬品の最高価格帯との価格差の4分の1が自己負担となります。
従って、仮に先発医薬品の価格が200円で、後発医薬品の価格が100円とした場合、その差額の100円の4分の1の25円を自己負担することになります。
但し、医師が医療上必要と認めた場合、あるいは医薬品供給困難な場合などで、薬局側が後発医薬品の準備が整わない場合などは引き続き全額保険給付の対象となります。
今回の改定に伴い、医師が医療上必要と認めたことがわかるように、処方箋の形式も変更されることになりました。
なお、施行されるのは、本年10月1日からです。
万病のもと「慢性炎症」~ミトコンドリア機能低下との関係~
ご存知のとおり、「慢性炎症」は、最近では様々な生活習慣病や、がんなどの引き金となる「万病のもと」として注目されています。
急性炎症は、生体防御反応のひとつで、身体にとって大切な反応ですが、サイレントキラーとも言われる「慢性炎症」は、組織の破壊や臓器の機能低下などが、気づかないうちに進行し、様々な病気の原因に係わる厄介者です。
慢性炎症は、内臓脂肪型肥満や加齢などが原因で起こることがわかっていますが、その他にもミトコンドリアの機能低下により、炎症性物質(インターフェロンなど)が増加し、慢性炎症を発生させることもわかっています。
ミトコンドリアは、加齢とともに細胞内の数量が減少すると同時に、その機能が低下することがわかっていますので、慢性炎症の予防・改善の鍵は「ミトコンドリアの新生・活性化」を促すところにあると言えそうです。
広島大学大学院医系科学研究科の森岡徳光教授らの研究によれば、長期的にストレスを与えて、うつ病や不安障害を呈するモデルマウスの脳内で、ミトコンドリアの障害が発生し、炎症性物質のインターフェロンが増加していることが確認されました。そして、インターフェロンの中和抗体を投与することで症状が改善することを報告しています。
森岡徳光教授らによれば、うつ病や不安障害といった気分障害と称される「こころの病」の患者さんは増加傾向にあり、これらの治療は長期間にわたり患者のQOLの低下を招き、医薬品が効かない患者さんも多いことから、インターフェロン中和抗体などの医薬品の開発は新たなターゲットとして期待されるとコメントしています。
一方、ミトコンドリアの活性化により、炎症性物質の増加を抑えることが期待できることが考えられる中で、最近注目されているサプリメント素材「BioPQQ」の機能性のひとつとして「ミトコンドリアの新生・活性化作用」が知られていますので、「BioPQQ」は、うつ病や不安障害といった気分障害をはじめ、万病のもとと言われる「慢性炎症」を抑えることが期待できそうです。今後の研究成果の報告を待つばかりですが、ますます「BioPQQ」の期待は高まってくるかも知れません。
生きる希望の光 ~ 補完代替医療の発展を期待して ~
補完代替医療は、国内では一般の方をはじめ、医師や薬剤師などの専門分野の方々にも、まだまだなじみの少ない言葉だと思われますが、欧米諸国では様々な研究が積み重ねられ、広く受け入れられている分野で、欧米諸国に比べても日本は半世紀以上遅れていると言われています。
補完代替医療の定義は、日本補完代替医療学会では「現代西洋医学領域において、科学的未検証および臨床未応用の医学・医療体系の総称」で、「通常の医学校では講義されていない医学分野で、通常の病院では実践していない医学・医療のこと」だと定義しています。
「通常の医学校では講義されていない医学・医療」なので、当然ながら通常の教育を受けて国家試験を合格した医師にとっては「わからないから推奨できない」というのがむしろ当然のことかも知れません。
一方で、「補完代替医療」の分野は、西洋医学ではどうすることもできない個々の症例に対して、有用な場合もあることを正しく理解することも大切で、一部の研究者により研究が積み重ねられている分野であることも忘れてはなりません。
最近では、免疫学の進歩にともなって、免疫力を高めるサプリメントなどによる、がん患者さんに対する「補完代替医療」は以前より受け入れられるようになり、がん患者さんの延命や、抗がん剤副作用軽減、痛みの緩和などのQOLの向上を含めると、治療の補助として欠かせない分野と感じます。
「補完代替医療」の中でも、国内で早くから認められるようになったのは「漢方」で、今では「東洋医学」という位置づけで「漢方薬」として医薬品に分類されています。
漢方薬は、何千年という歴史から積み重ねられてきた経験から生まれた薬で、今まで知られていなかった作用機序や新たな疾患に対する有効性なども、やっと最近になってわかってきたという例もあります。
認知症患者さんの一部の症状緩和にもよく使用される「抑(よく)肝散(かんさん)」もその一つです。
最近の研究でパーキンソン病患者さんの運動障害に有効であるという論文が発表されており、韓国では抑肝散に少し改良を加えて臨床研究が進められているようです。
このようなことから感じることは、「エビデンスがないから」という理由で否定したり、「治る・治らない」の二つに一つという考え方をするよりも、通常の医学ではもうどうすることもできないという患者さんのどん底の気持ちから生きる希望の光となるような、患者さんの心の充実や痛みの緩和、副作用軽減などのQOLの向上などの幅広い立場の医療を実現していくことも大切だと思います
。 必要に応じて「補完代替医療」を安心して実践していけるように、補完代替医療分野の研究者は、しっかりと研究を積み重ねる努力を続けること、また「補完代替医療」を取り入れようとされる方は、どのような研究がされているのか、どのような実績があるかなどをご自身で納得できるまで確認することも大切だと思います。
今後、ますますの「補完代替医療」の発展に期待したいと思います。