ブロッコリーの新芽の部分、発芽ブロッコリーは、「ブロッコリースプラウト」ととして店頭でもよく見かけるようになりましたが、ブロッコリーに比べてブロッコリースプラウトは栄養価が高く、特に有用成分のひとつのスルフォラファンの含有量は同じアブラナ科の緑黄色野菜に比べても群を抜いて豊富に含まれてます。
今まで知られているスルフォラファンの作用として、抗酸化作用、認知機能改善効果、糖尿病の血糖値改善効果、統合失調症予防効果、うつ病予防・改善効果、乳がん抑制効果など多数の報告があります。
さらに最近、東北大学大学院薬学研究科斎藤芳郎教授らの研究グループによる「スルフォラファン」の糖尿病増悪因子抑制作用についての研究成果が、2023年10月に生物学分野専門誌「Communications Biology」にオンライン掲載されましたので、お伝えさせて頂きます。
肝臓で合成され血液中に分泌される「セレノプロテインP」は、必須微量元素のセレンを全身に運ぶたんぱく質として重要な働きをしていますが、糖尿病患者では、「セレノプロテインP」の産生が増加して、インスリン抵抗性やインスリン分泌を悪化させることがわかっています。
斎藤芳郎教授らの研究では、ブロッコリースプラウトに豊富に含まれる「スルフォラファン」が、肝細胞のリソソームにおける「セレノプロテインP」の分解を促進して、「セレノプロテインP」の生成を抑制することがわかり、糖尿病予防に対する「スルフォラファン」の新たな知見が見いだされました。
糖尿病患者においては「セレノプロテインP」の生成を適度に抑えて、「セレノプロテインP」を減らしすぎず、増やしすぎず、適度にバランスをとることが重要と考えられますが、ブロッコリースプラウトに含まれるスルフォラファンは、その役割を担う救世主と言えるかも知れません。