医療機関向けAHCCは、補完代替医療の一環として、かねてより臨床の現場でも治療の補助として使用されており、高い評価を頂いている健康食品のひとつです。
AHCCの基礎研究報告はもちろんのこと、臨床報告の積み重ねの中、今では特定臨床研究も行われています。
特定臨床研究とは、2018年に施行された「臨床研究法」に基づき、厚生労働省が認定した倫理委員会で審査が行われ、当局が管轄する臨床研究データベース(jRCT)に登録され、公表されているものです。
「jRCT」のページでAHCCを検索すれば、例えば、関西医科大学附属病院の「切除不能膵癌に対するAHCC投与第Ⅱ相比較試験」や、北海道大学大学院医学研究院(北海道大学病院)の「AHCCの尿路上皮癌における化学療法の骨髄抑制軽減効果を検討する臨床研究」、「AHCCによるレンバチニブ療法の副作用軽減効果の検討」、「AHCC摂取によるヒトパピローマウイルス消失効果を検証する研究」などが公表されています。
この度、これらの特定臨床研究についての詳細や、その他AHCCの研究についての概略などを北海道FM放送(FMアップル「香るパラダイス(2024年5月13日放送)」の中で紹介されています。ぜひ、ご覧いただければと思います。
(YouTube(https://www.youtube.com/watch?v=dIozqob_vM&t=156s)参照)
医療機関向けAHCCは、このように厳しい基準にそって質の高い臨床研究が行われている健康食品であることから、先生方も自信をもって患者様に推奨して頂けるもののひとつと思います。
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AHCC 臨床研究が着実に進む!~特定臨床研究を中心に~
ビタミンDのがん免疫を促進する意外なメカニズム
7月の代替医療健康食品通信で、「脳-腸相関」についての研究が本格的にすすみはじめ腸内細菌のかかわりについても少しずつ明らかになりつつあることをお伝えしました。
今月号は、それにも関連した話題にはなりますが、「ビタミンDのがん免疫を促進する意外なメカニズム」についてお伝えします。
ビタミンDは、骨代謝にかかわるビタミンとしてよく知られていますが、日光を浴びることにより体内で合成することもできるビタミンであることから、あまり注目されていませんでした。
しかし、まだまだエビデンスに乏しいものもありますが、パーキンソン病やアルツハイマー型認知症の予防改善の可能性の他、免疫力を高める作用が知られています。
免疫力を高める作用については、核内受容体に結合して様々な分子の転写を促進することによるという考えもありましたが、腸内上皮細胞に作用しBacterioides fragilisという細菌が腸内で増える結果、がん免疫が増強されることがわかり、科学雑誌「Science」(4月26日号)で報告されました。
ビタミンDで上皮が刺激されることでおこる腸内細菌叢の変化を調べたところ、Bacterioides fragilis のみが増加しており、Bacterioides fragilisを正常マウスに移植するとがん抑制が誘導され、この効果はビタミンD欠損食で消失することを確認しています。
人間のデータベースからビタミンD受容体の感受性が高い患者さんはがんの生存率が高いことや、ビタミンD濃度の低い患者さんはがん発生率が高いなどが知られていますが、Bacterioides fragilisの関与についてはまだ明らかにされていません。
ビタミンDの作用については、最近、東京慈恵会医科大学の研究で、ビタミンDサプリメントの摂取と癌死亡率低下の可能性についても発表されています。
統合医療を実践する医師の中でも、免疫力を高めることが期待できる健康食品とともに、ビタミンDなどを含む総合ビタミンの摂取を推奨しているグループもあります。
ビタミンCの抗酸化作用などを含めていままでにもよく知られている作用に加えて、いままで知られていなかったビタミンの様々な作用が発見されています。
例えば、ビタミンB2は、ミトコンドリア活性作用が知られるようになりました。
ミトコンドリア活性作用で期待できる作用として、認知症やパーキンソン病の予防・改善作用、がん細胞のアポトーシス誘導作用などの他、実に様々な作用が期待できます。
がん補完代替医療を実践されている方は、コスト的にも負担が少ないことから可能であれば総合ビタミンサプリメント、または総合ビタミン配合の医薬部外品の摂取も併せて考慮しても良いかも知れません。
腸内細菌と病気の予防と治療の関係~ 今後の研究の進展に期待! ~
脳と腸は常に情報を交換しあってお互い影響を及ぼすことが徐々に解明され、やっと最近になって「脳-腸相関」についての研究が本格的にすすみ始めています。
その中で、腸内細菌のかかわりについても少しずつ明らかになりつつあり、どの腸内細菌がどのような疾患にかかわっているかというところまでわかりはじめてまいりました。
しかし、まだまだわかっていないことの方が多いというのが現況です。
乳酸菌が免疫力を高める作用が期待できることはすでによく知られていますが、それ以外にも、睡眠や抗アレルギー作用に乳酸菌入り飲料やヨーグルトが発売されていることからもわかるように腸内細菌は様々な疾患とかかわりをもっています。
そもそも脳腸相関における腸内細菌のかかわりが世界でも注目されるようになったのは、腸内細菌を持たない無菌マウスを用いた研究報告が発表されてからです。
無菌マウスは腸内細菌を持つ通常マウスに比べ、ストレスに対して過敏であること、脳の神経系を成長させるための因子が少ないことなどが分かり、無菌マウスに通常の腸内細菌を移植すると多動や不安行動が正常化するという報告などから、腸内細菌はストレスの感じ方や脳の神経系の発達・成長、そして行動に関わる存在であることが示唆されています。
さらに最近の研究で、がん免疫治療薬(オプジーボなど)と腸内細菌とのかかわりについても知られてきました。
がん免疫療法は、手術・放射線・抗がん剤治療に続く「第4のがん治療法」と言われており、抗がん剤や分子標的薬などと比べても、がん免疫治療薬の効果が出て3年間生きられると、5年、10年と再発が抑えられる可能性が高いと言われています。
その中で、腸内細菌叢の環境を整えることでがん免疫治療薬の効果を高める可能性について昭和大学医学部で研究が進められています。
昭和大学医学部で研究されるようになったきっかけは、「腸内細菌の違いによって、がん免疫治療薬の効果が左右される」というマウスを使った研究報告でした。
同じ種類と同じ週齢のマウスであるのに、飼育先の会社によってがん免疫治療薬の効果が違うことに気づいた海外の研究チームがその原因を探ったところ、餌などの飼育環境の違いによって治療薬の効果を左右していることや、無菌マウスにがん免疫治療薬を与えても治療効果が現れないことがわかりました。
これをきかっけにヒトでも検証を重ねた結果、がん免疫治療薬の治療効果のなかった患者の腸内細菌に比べて、治療効果のあった患者の腸内細菌は多様性に富んでいることや、治療前に抗生物質を服用している方はがん免疫治療薬の効果が現れにくいことなどがわかりました。
さらに、昭和大学の研究チームデータ分析から、オプジーボの効果があった患者さんの腸内にビフィズス菌が多いことや、腸内細菌の多様性があったこともわかっています。
まだまだ腸内細菌と病気についての解明は研究途上にありますが、今後ますます解明されていくことを期待します。
腸内細菌と病気についての詳細がまだ明らかになっていない現時点では、日常的に乳酸菌やビフィズス菌入りの飲料やヨーグルトの積極的な摂取、およびオリゴ糖や食物繊維の積極的な摂取などの他、例えばエンテロコッカス・フェカリス菌配合サプリメントの積極的な摂取なども補完代替医療の立場から有用かも知れません。
サルコペニア肥満は総死亡リスクを高める?
サルコペニアは、加齢による筋肉量の減少および筋力の低下により発症し、歩いたり立ち上がったりする日常生活に影響を及ぼし、介護が必要になったり、転倒するリスクが高まるなどの他、各種疾患の重症化や生存期間にも影響することから注目されている疾患です。
この度、フランスCentre de Recherche en Nutrition HumaineのElizabeth Benz氏らは、オランダのRotterdam Studyを利用して、サルコペニアとサルコペニア肥満(SO)に該当する高齢者を同定し、サルコペニアではない高齢者と総死亡リスクを比較するコホート研究を行い、サルコペニアやSOの人は死亡リスクが高かったことを、2024年3月25日のJAMA Network Open誌電子版にて報告しています。
著者らは、サルコペニアとSOは高齢者に少なからず存在し、総死亡リスクの増加と関連が見られたと結論づけ、サルコペニアの初期に認められる筋力の低下を指標にすれば、生活改善を中心とする介入で、死亡リスクを減らせる可能性が示唆されたと述べています。
ところで、サルコペニアを発症するひとつの原因として、骨格筋に豊富に存在するミトコンドリア数の減少や機能異常がよく知られています。
その他にも、ミトコンドリアの減少と疾患との関係は良く知られていることから、健康を維持していく上で、細胞内のミトコンドリアを増やすことや、活性化させることが有用であると考えられます。
最近、細胞内のミトコンドリア新生作用として注目されているNMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)が注目されていますが、NMNよりも三菱ガス化学が製造する「BioPQQ」の方がはるかに効果が高いことがin vitroで確認され(約1000倍)、ミトコンドリア新生作用と活性化作用が期待されるサプリメント成分として「BioPQQ」がにわかに注目を集めています。
「BioPQQ」を用いた研究では、その他にも「睡眠の質改善作用」、「健康な中高齢者に対する注意力やワーキングメモリーの維持作用」、「ストレス改善作用」など多数の研究報告がされています。
万病のもと「慢性炎症」~ミトコンドリア機能低下との関係~
ご存知のとおり、「慢性炎症」は、最近では様々な生活習慣病や、がんなどの引き金となる「万病のもと」として注目されています。
急性炎症は、生体防御反応のひとつで、身体にとって大切な反応ですが、サイレントキラーとも言われる「慢性炎症」は、組織の破壊や臓器の機能低下などが、気づかないうちに進行し、様々な病気の原因に係わる厄介者です。
慢性炎症は、内臓脂肪型肥満や加齢などが原因で起こることがわかっていますが、その他にもミトコンドリアの機能低下により、炎症性物質(インターフェロンなど)が増加し、慢性炎症を発生させることもわかっています。
ミトコンドリアは、加齢とともに細胞内の数量が減少すると同時に、その機能が低下することがわかっていますので、慢性炎症の予防・改善の鍵は「ミトコンドリアの新生・活性化」を促すところにあると言えそうです。
広島大学大学院医系科学研究科の森岡徳光教授らの研究によれば、長期的にストレスを与えて、うつ病や不安障害を呈するモデルマウスの脳内で、ミトコンドリアの障害が発生し、炎症性物質のインターフェロンが増加していることが確認されました。そして、インターフェロンの中和抗体を投与することで症状が改善することを報告しています。
森岡徳光教授らによれば、うつ病や不安障害といった気分障害と称される「こころの病」の患者さんは増加傾向にあり、これらの治療は長期間にわたり患者のQOLの低下を招き、医薬品が効かない患者さんも多いことから、インターフェロン中和抗体などの医薬品の開発は新たなターゲットとして期待されるとコメントしています。
一方、ミトコンドリアの活性化により、炎症性物質の増加を抑えることが期待できることが考えられる中で、最近注目されているサプリメント素材「BioPQQ」の機能性のひとつとして「ミトコンドリアの新生・活性化作用」が知られていますので、「BioPQQ」は、うつ病や不安障害といった気分障害をはじめ、万病のもとと言われる「慢性炎症」を抑えることが期待できそうです。今後の研究成果の報告を待つばかりですが、ますます「BioPQQ」の期待は高まってくるかも知れません。
続報「ブロッコリースプラウト」の新たな知見!
2024年3月号の「代替医療健康食品通信」では、東北大学大学院薬学研究科斎藤芳郎教授らの研究グループによるブロッコリースプラウトに豊富に含まれている「スルフォラファン」の糖尿病増悪因子抑制作用という新たな知見についてお伝えしました。
ブロッコリーやキャベツなどのアブラナ科の野菜に微量に含まれる「スルフォラファン」は、体内に取り込まれた化学物質の解毒作用を有し、がん予防や肥満改善などの作用も知られており、ブロッコリースプラウトは熟成ブロッコリーに比べて数十倍もスルフォラファンを豊富に含むことから近年注目されています。
今回は、「ブロッコリースプラウト」の知見について、続報をお伝えします。
東北大学大学院医学系研究科環境医学分野赤池孝章教授らの研究グループは、マウスを用いた実験で超硫黄分子が新型コロナウィルスやインフルエンザ感染症に対して強力な感染防御能を有し、難治性炎症性肺疾患COPD・肺気腫・突発性肺線維症などの予防・治療効果などについて明らかにし、その研究成果が2023年7月に「Nature Communications」に掲載されました。
超硫黄分子には、エネルギー代謝改善や抗酸化活性があることから創薬への期待が高まっている物質で、酸化ストレスが関わる心血管疾患、生活習慣病、動脈硬化、糖尿病などの代謝性疾患、アルツハイマー病などの神経変性疾患、がんなどの難治性疾患や長寿医療への展開にも期待が寄せられています。
そのような中、大阪公立大学大学院理学研究科の笠松真吾助教らは、「ブロッコリースプラウト」の発芽・成長過程において超硫黄分子量が劇的に増加していることを発見し、今まで分子構造が決定されていない全く未知の超硫黄分子候補物質も多数検出され、2023年9月6日に国際学術雑誌「Redox Biology」にオンライン掲載されました。
ブロッコリースプラウトには、いままで知られていなかったまだまだ未知の作用を有している可能性を秘めている成分といえそうです。今後の研究成果に注目してまいりたいと思います。
発芽ブロッコリー(ブロッコリースプラウト)に豊富に含まれる「スルフォラファン」の新たな知見!
ブロッコリーの新芽の部分、発芽ブロッコリーは、「ブロッコリースプラウト」ととして店頭でもよく見かけるようになりましたが、ブロッコリーに比べてブロッコリースプラウトは栄養価が高く、特に有用成分のひとつのスルフォラファンの含有量は同じアブラナ科の緑黄色野菜に比べても群を抜いて豊富に含まれてます。
今まで知られているスルフォラファンの作用として、抗酸化作用、認知機能改善効果、糖尿病の血糖値改善効果、統合失調症予防効果、うつ病予防・改善効果、乳がん抑制効果など多数の報告があります。
さらに最近、東北大学大学院薬学研究科斎藤芳郎教授らの研究グループによる「スルフォラファン」の糖尿病増悪因子抑制作用についての研究成果が、2023年10月に生物学分野専門誌「Communications Biology」にオンライン掲載されましたので、お伝えさせて頂きます。
肝臓で合成され血液中に分泌される「セレノプロテインP」は、必須微量元素のセレンを全身に運ぶたんぱく質として重要な働きをしていますが、糖尿病患者では、「セレノプロテインP」の産生が増加して、インスリン抵抗性やインスリン分泌を悪化させることがわかっています。
斎藤芳郎教授らの研究では、ブロッコリースプラウトに豊富に含まれる「スルフォラファン」が、肝細胞のリソソームにおける「セレノプロテインP」の分解を促進して、「セレノプロテインP」の生成を抑制することがわかり、糖尿病予防に対する「スルフォラファン」の新たな知見が見いだされました。
糖尿病患者においては「セレノプロテインP」の生成を適度に抑えて、「セレノプロテインP」を減らしすぎず、増やしすぎず、適度にバランスをとることが重要と考えられますが、ブロッコリースプラウトに含まれるスルフォラファンは、その役割を担う救世主と言えるかも知れません。
ビタミンD摂取と癌死亡率低下について!
東京慈恵会医科大学分子疫学研究部浦島充佳教授らと、ドイツ癌研究センター、ハーバード大学、カリフォルニア大学サンフランシスコ校などの他、フィンランド、オーストラリア、ニュージーランドなどの研究機関との国際共同研究により、二重盲検ランダム化プラセボ比較試験に参加した10万人のデータをメタ解析した結果、
①ビタミンD連日摂取により、癌種に関係なく死亡率を低下が12%減少した
②70歳以上では癌死亡率が17%減少し、高齢者で特に有効だった
③癌発症前からビタミンDサプリメントを連日摂取していた場合は13%、発症後でも11%癌死を
予防した
④連日の摂取で有効だったが、月に1回の大量摂取では無効だった
などが明らかにされ、その研究成果が論文に掲載されています。
世界では毎年二千万人近くの人が癌を発症し、約一千万人が癌で死亡していると言われていますが、患者さんの治療費の負担も大きな課題となっています。
そんな中で、ビタミンDは日光にあたるだけでも体内のビタミンD濃度を高めることができる他、1日2000IU(国際単位)の連日摂取でも副作用の報告はなく、比較的安価に摂取することが可能です。
東京慈恵会医科大学分子疫学研究部浦島充佳教授によれば、現段階ではこの研究報告をもってビタミンDサプリメント摂取が有意に癌死を抑制するとは言い切れませんので、今後さらにビタミンD連日摂取の安全性を含めた研究を継続していくとして、すでにその試験も始まっています。
たかがビタミン、されどビタミン!
ビタミンといえば身近すぎて軽視しがちなところもありますが、例えばビタミンB2は、ミトコンドリアを活性化することにより細胞老化を抑制するなど、今まで知られていなかったことも次々に報告されています。
総合ビタミンサプリメント(アサヒのサプリ「ディアナチュラ」など)や、総合ビタミン医薬部外品(ポポンSなど)の摂取は、安価でもあり、私たちの健康を維持していくうえで、有用かも知れません。
補完代替医療について正しく理解するために!
補完代替医療、それは西洋医学を教育する医学部では未だに講義すらされていない分野であることから、必要に応じて推奨されたり、肯定される医師は少ないのが現状です。
国内では、20年以上前から一部の医師が患者さんに補完代替医療を推奨することで良い結果報告がポツポツと出始め、その後徐々に研究の対象として取り組まれてくるようになってきました。
そして、やっと1990年に代替医療研究会が発足し、2000年には補完代替医療学会の設立へと発展しています。代替医療から補完代替医療という名称に変更されたのは、「代替医療」という名称が、あたかも西洋医学にとって代わる医療と誤解を招くことが多かったという経緯があります。
そこで、西洋医学を否定するものではなく、また西洋医学にとって代わる医療という意味でもない、「補完代替医療」という名称に変更されました。
国として本格的に補完代替医療の議論を始めたのは2012年の厚生労働省が開催した「統合医療のあり方に関する検討会」においてです。
このころからやっと本格的に補完代替医療、統合医療という分野にも国として検討が始まりました。
それでも補完代替医療の分野の研究は、海外に比べても50年以上遅れていると指摘されているように、国内の現状としてはまだ補完代替医療を完全に否定する医師も多く見受けられ、やっと否定はしないが肯定もしないという立場の医師が増え始めてきたという段階です。
さて、それではどうして補完代替医療が多くの医師に受け入れされにくいのでしょうか。
例えばサプリメントを例にあげて考えてみます。サプリメント(健康食品)は、当然ながら「健康食品」に分類されます。「いわゆる健康食品」という表現もされるように、「食品」というくくりの中で、信頼できる食品とそうでない食品がすべて同じ位置づけされていることもあります。
その中で補完代替医療に詳しい島根大学医学部付属病院臨床研究センター教授の大野智氏は、補完代替医療の問題点を大きく3つ挙げています。
(!)健康被害(品質の悪い粗悪な原料を使用して製造しているなど)
(2)経済被害(足もとをみてぼったくりのような高額請求をする悪徳商法)
(3)機会損失(西洋医学を否定するかのように通常医療を妨げる)
です。
結局は、何が妨げの原因になっているかといえば、販売業者の専門知識(正しい情報の理解と伝達)の有無やモラルの欠如などです。
そこで販売業者を選ぶためのポイントは、上記の点をしっかりと把握し、専門知識をもったスタッフ、または顧問医師がいること、偏りなく正しい情報を発信し、自社が販売する商品だけを売りつけるようなことがないなどのところを選ぶべきかと思います。
最近では、一番信頼性が高い研究として位置付けられているランダム化比較試験でも、健康食品や鍼灸、マッサージといった研究報告件数は年々増加しています。
(参考;朝日新聞 デジタルより抜粋)
今後ますます研究が重ねられ、医師をはじめ、一般の方も補完代替医療を正しく理解されるようになり、いわゆる悪徳業者が淘汰され、国内においても補完代替医療があたりまえに受け入れられるときが来るのを期待します。
なお、厚生労働省の統合医療情報発信サイト「http://www.ejim.ncgg.go.jp/」
も参考になるかと思いますので併せてお伝え申し上げます。
アスパラガス抽出物~認知症患者に対する新たな知見~
アスパラガス抽出物は、これまでにヒートショックプロテイン(HSP)70を発現誘導することにより、抗ストレス、睡眠の質改善、認知機能改善作用などが報告されています。
HSP70と病気との関係はよく知られており、特に「うつ症状」の改善などの精神疾患や、睡眠の質の改善などに対しても注目されています。
今までにも、アスパラガス抽出物を用いたヒト試験においても、抗ストレス作用の他、睡眠の質改善作用などが報告されています。
さてこの度、日本医療大学認知症研究所の銭本隆之らの無作為化二重盲検クロスオーバー試験で、軽度~中等度認知症患者の認知機能や精神症状の改善などが見られたことを、Evidence-based Complementary and Alternative Medicine 2023に掲載されました。
アスパラガス抽出物の脳機能に関する報告はこれまで学会で良い結果報告を発表されてまいりましたが、さらに一歩進んだ研究報告と言えます。
今後の研究成果に期待されるところです。