イムバランス(麹菌発酵大豆培養物)は、味噌用麹菌を用いて独自の技術により脱脂大豆を発酵させて得られた物質で、これまでの研究では小児アトピー性皮膚炎に対する効果をはじめ、花粉症などのアレルギー疾患に対する有用性や「NASH」抑制効果、慢性腎不全に対する有用性、免疫不均衡に対する難治性不妊症に対する有用性など、様々な効果が報告されています。
この度、さらに第67回日本生殖医学会総会で慢性子宮内膜炎に対する効果について発表がありましたのでお伝えさせて頂きます。
先生方もご存知のとおり、子宮内膜炎は子宮内膜において持続的な炎症を伴う疾患で、細菌やウィルスの感染が主な原因と言われ、反復着床不全や習慣流産などを引き起こす場合もあり、正常な妊娠の妨げとなっています。
一方で、子宮内膜炎の原因や発症機序は十分に解明されているとは言えず、現状では抗生物質を用いた治療にとどまっています。
しかし、抗生物質の投与で効果が得られない場合も珍しくありません。
そこで抗生物質投与で効果が得られない場合に、代替治療の確立が望まれていました。
東京都の杉山産婦人科新宿(院長;中川浩次氏)らは、慢性子宮内膜炎の着床不全患者に「イムバランス」を投与し、慢性子宮内膜炎の改善効果と臨床妊娠率を調べた結果、それぞれの効果が確認され、その結果を第67回日本生殖医学会総会で発表しています。
これらの効果は、「イムバランス」投与により腸内細菌叢のバランスが改善された結果と推測されていますが、抗生物質1クール投与後、および2クール投与後において改善しなかったCD138の個数が、いずれも「イムバランス」投与によって改善したことを確認しました。
さらにこの効果は、「イムバランス」投与2週間という早期で確認できたことから、「イムバランス」は、慢性子宮内膜炎による不妊治療に有用であると思われます。
まだまだ知られていない腸内細菌叢のバランスの改善効果は、様々な疾患に有効に働くものと思われますが、腸は第二の脳(セカンドブレイン)と呼ばれる意味も徐々に詳細が明らかになり、今後さらに疾患と腸内細菌叢との関係がわかってくる予感がします。