「睡眠の質」を維持・向上させることは、私たちの健康を維持していく上で大切であることは、言うまでもなく先生方もよくご存知のことと思います。
その睡眠と健康との関わりの中で、今まであまり知られていなかった「動脈硬化リスク」との関係について、米国ヴァンダービルト大学の研究グループが、2023年2月のJournal of the American Heart Association誌で発表しました。
本研究では、2010年~2013年に記録された2023例のデータを用いて評価したもので、評価項目には冠動脈カルシウム、頸動脈プラークの有無、頸動脈内-中膜の厚さなどを用いています。
その結果、全体として様々な睡眠をとった参加者(例えば、ある夜は睡眠時間が短く、ある夜は睡眠時間が長い)は、毎晩ほぼ同じ睡眠時間だった参加者よりも、アテローム性動脈硬化を発生する可能性が高いことなどがわかりました。
また、就寝時間が不規則な参加者は、より規則的な就寝タイミングの参加者に比べて冠動脈カルシウム負荷が高く、睡眠の不規則性、とりわけ睡眠時間の長さのばらつきは、アテローム性動脈硬化のいくつかのマーカーと関連していたとのことです。
今まで、睡眠と心疾患や2型糖尿病との関連性について知られていましたが、睡眠と動脈硬化との関係についてはあまり知られていませんでした。
この度、このような研究報告があったことは、私たちの健康を維持していく上で、やはり睡眠の質を維持・向上していくことが大切であることを改めて感じさせられます。