サプリメントは「エビデンス」がないから推奨しないという医師も見受けられますが、いつもお伝えしているとおり、現在の医薬品のルーツは、主に自然に生息する植物や動物の食経験の中から発見されたものがたくさんあります。最近では、食品中に含まれる物質の「ファイトケミカル」が注目されており、私たちの健康に様々な有用作用があることも知られています。
これらは食品中に含まれる成分で、よほど大量に摂取しないかぎりは安全に食することができて、健康に良い作用を有しています。漢方薬も長年の経験の積み重ねで薬になっています。
医薬品は「エビデンスがあるから良い」、サプリメントは「エビデンスに乏しいからダメ」ということは一概には言えないと思っています。
医薬品は合成された物質で、いわゆる副作用など、身体への負担もつきものです。
副作用もわかっているものであればまだしも、予期せぬ副作用を生じることもあります。
さらには、誰もが知っている薬が、「なぜ効くのか」ということが未だにわかっていないものもあります。実例をあげると、「アセトアミノフェン」もそのひとつです。
アセトアミノフェンと言えば、コロナワクチンの副反応の発熱を抑制するためによく使用されたこともあり、名前ぐらいは聞いたことがあるのではないでしょうか。
このアセトアミノフェンは、医薬品として発売されてから100年以上も経過しているのですが、一般的な非ステロイド抗炎症剤(ロキソニンなど)と違って、解熱・鎮痛効果を有するのに、抗炎症作用はほとんど期待できません。
そして、なぜ抗炎症作用がほとんど期待できないのかということについては実は謎に包まれている状態なんです。
最近になってやっと中枢神経系に存在するCOX-3を選択的に阻害することにより解熱・鎮痛効果を発揮すると考えられるようになりましたが、これもまたCOX-3阻害作用と解熱・鎮痛効果の相関性が弱いことから、また振り出しにもどりました。
でも、やっとごく最近、アセトアミノフェンの代謝産物の「AM404」という物質が関与しているという説が有力になり、研究が進められていますので、今後の研究成果に期待したいところです。
このように医薬品であってもわかっていないこともあるということを思うとき、食経験のある食品成分の摂取(サプリメントを正しく摂取すること)は、私たちの健康維持に大切なことかも知れません。