補完代替医療、それは西洋医学を教育する医学部では未だに講義すらされていない分野であることから、必要に応じて推奨されたり、肯定される医師は少ないのが現状です。
国内では、20年以上前から一部の医師が患者さんに補完代替医療を推奨することで良い結果報告がポツポツと出始め、その後徐々に研究の対象として取り組まれてくるようになってきました。
そして、やっと1990年に代替医療研究会が発足し、2000年には補完代替医療学会の設立へと発展しています。代替医療から補完代替医療という名称に変更されたのは、「代替医療」という名称が、あたかも西洋医学にとって代わる医療と誤解を招くことが多かったという経緯があります。
そこで、西洋医学を否定するものではなく、また西洋医学にとって代わる医療という意味でもない、「補完代替医療」という名称に変更されました。
国として本格的に補完代替医療の議論を始めたのは2012年の厚生労働省が開催した「統合医療のあり方に関する検討会」においてです。
このころからやっと本格的に補完代替医療、統合医療という分野にも国として検討が始まりました。
それでも補完代替医療の分野の研究は、海外に比べても50年以上遅れていると指摘されているように、国内の現状としてはまだ補完代替医療を完全に否定する医師も多く見受けられ、やっと否定はしないが肯定もしないという立場の医師が増え始めてきたという段階です。
さて、それではどうして補完代替医療が多くの医師に受け入れされにくいのでしょうか。
例えばサプリメントを例にあげて考えてみます。サプリメント(健康食品)は、当然ながら「健康食品」に分類されます。「いわゆる健康食品」という表現もされるように、「食品」というくくりの中で、信頼できる食品とそうでない食品がすべて同じ位置づけされていることもあります。
その中で補完代替医療に詳しい島根大学医学部付属病院臨床研究センター教授の大野智氏は、補完代替医療の問題点を大きく3つ挙げています。
(!)健康被害(品質の悪い粗悪な原料を使用して製造しているなど)
(2)経済被害(足もとをみてぼったくりのような高額請求をする悪徳商法)
(3)機会損失(西洋医学を否定するかのように通常医療を妨げる)
です。
結局は、何が妨げの原因になっているかといえば、販売業者の専門知識(正しい情報の理解と伝達)の有無やモラルの欠如などです。
そこで販売業者を選ぶためのポイントは、上記の点をしっかりと把握し、専門知識をもったスタッフ、または顧問医師がいること、偏りなく正しい情報を発信し、自社が販売する商品だけを売りつけるようなことがないなどのところを選ぶべきかと思います。
最近では、一番信頼性が高い研究として位置付けられているランダム化比較試験でも、健康食品や鍼灸、マッサージといった研究報告件数は年々増加しています。
(参考;朝日新聞 デジタルより抜粋)
今後ますます研究が重ねられ、医師をはじめ、一般の方も補完代替医療を正しく理解されるようになり、いわゆる悪徳業者が淘汰され、国内においても補完代替医療があたりまえに受け入れられるときが来るのを期待します。
なお、厚生労働省の統合医療情報発信サイト「http://www.ejim.ncgg.go.jp/」
も参考になるかと思いますので併せてお伝え申し上げます。