2024年3月号の「代替医療健康食品通信」では、東北大学大学院薬学研究科斎藤芳郎教授らの研究グループによるブロッコリースプラウトに豊富に含まれている「スルフォラファン」の糖尿病増悪因子抑制作用という新たな知見についてお伝えしました。
ブロッコリーやキャベツなどのアブラナ科の野菜に微量に含まれる「スルフォラファン」は、体内に取り込まれた化学物質の解毒作用を有し、がん予防や肥満改善などの作用も知られており、ブロッコリースプラウトは熟成ブロッコリーに比べて数十倍もスルフォラファンを豊富に含むことから近年注目されています。
今回は、「ブロッコリースプラウト」の知見について、続報をお伝えします。
東北大学大学院医学系研究科環境医学分野赤池孝章教授らの研究グループは、マウスを用いた実験で超硫黄分子が新型コロナウィルスやインフルエンザ感染症に対して強力な感染防御能を有し、難治性炎症性肺疾患COPD・肺気腫・突発性肺線維症などの予防・治療効果などについて明らかにし、その研究成果が2023年7月に「Nature Communications」に掲載されました。
超硫黄分子には、エネルギー代謝改善や抗酸化活性があることから創薬への期待が高まっている物質で、酸化ストレスが関わる心血管疾患、生活習慣病、動脈硬化、糖尿病などの代謝性疾患、アルツハイマー病などの神経変性疾患、がんなどの難治性疾患や長寿医療への展開にも期待が寄せられています。
そのような中、大阪公立大学大学院理学研究科の笠松真吾助教らは、「ブロッコリースプラウト」の発芽・成長過程において超硫黄分子量が劇的に増加していることを発見し、今まで分子構造が決定されていない全く未知の超硫黄分子候補物質も多数検出され、2023年9月6日に国際学術雑誌「Redox Biology」にオンライン掲載されました。
ブロッコリースプラウトには、いままで知られていなかったまだまだ未知の作用を有している可能性を秘めている成分といえそうです。今後の研究成果に注目してまいりたいと思います。