食物アレルギーで最も多い卵アレルギーは、離乳早期から少量の卵を摂取することで8割が予防できるとの研究成果を、国立成育医療研究センター(東京都)などの研究チームが発表した。9日、英医学誌「ランセット」に掲載された。アレルギーの原因になる食材は早期に与えないとする考えが一般には根強い中、注目を集めそうだ。
アトピー性皮膚炎と診断された乳児が対象。生後6か月から毎日少量の固ゆで卵の粉末を摂取するグループと、卵が入っていない粉末を摂取するグループに分け、卵アレルギーが発症する割合を調べた。
1歳時点の発症率は、卵を摂取しないグループは61人中23人(38%)、摂取したグループは60人中5人(8%)となり、少量摂取した方が約8割少なかった。
アトピー性皮膚炎の乳児は様々なアレルギーを発症するリスクが高い。
食物アレルギーを予防するには、原因となる食材を早期に摂取した方が免疫を抑える細胞が活性化し、耐性がつくという考えが、研究者の間では有力になっている。
今回は専門医の指導のもと、アトピー性皮膚炎の治療も徹底して行っており、同センターアレルギー科の大矢幸弘医長は「親が自己流で行うと危険を伴うのでやめてほしい」と呼びかけている。
日本アレルギー学会の西間 三馨 顧問は「画期的な成果だが、予防法として推奨するには、より大規模な研究を行い、効果を検証する必要がある」と指摘した。
(2016年12月9日 読売新聞)