いきなりですが「賦形剤(ふけいざい)」という言葉を聞いたことはありますか?
「賦形剤」とは「錠剤」や「粉薬」を作るときに、全体量を増やして製造時の主成分のバラつきを少なくする目的で加えられる、不活性成分のことを言います。
よく使われるものに、「乳糖」や「デンプン」などがあります。
それとは別に、例えば錠剤を製造するときに少量加えて流動性を高めて製造しやすくするために加えるステアリン酸マグネシウムやタルクなどの「滑沢剤」や、色を付けるために食用着色料などを加えることがあります。
「賦形剤」や「滑沢剤」などの添加物は、有効成分ではない「不活性成分」になりますが、錠剤や散剤を製造するうえで不可欠なものです。
「不活性成分」と言えば、身体に無害と思われがちですが、中には体に合わないこともあります。
例えば、賦形剤の代表格ともいえる乳糖は、「乳糖不耐症」の方が服用すると下痢の原因になります。
また、ある研究によれば、食用着色料によるアレルギー反応を起こす方は、約4%という報告があります。
私たち薬剤師も、錠剤を粉砕して粉にしてから分包するときに、やはり成分のバラつきを少なくすることや、飲みやすい量に調整する目的で「乳糖」を加えることはごく当たり前のことです。
その時に乳糖による有害事象が起こる可能性まで考えることは、あまりないというのが正直なところです。
お薬を服用して何らかの副作用が現れた場合、ついそのお薬の有効成分による副作用と思われがちですが、添加物による副作用ということも否定できません。
しかし、お薬を製造する上では、どんなに大手メーカーであっても添加物を加えなければお薬を製造できませんので、「添加物は嫌だ」と言ってもそれは無理な話です。
どのお薬も大体同じような添加物を使用していますので、過度に神経質になる必要は全くありませんが、食用着色料アレルギーのある方や乳糖不耐症の方は、お薬を服用する前に確認しておくと良いと思います。
お薬の添加物の種類は、添付文書というお薬の説明書にすべて記載されていますので、添加物について気になる方は、薬剤師に尋ねると教えてもらえると思います。