人生100年時代といわれている中、健康な心身を保ちながら長生きることが理想と言えるのではないでしょうか。
そこで例えば、風邪で熱があるときや、頭が痛いときには「解熱鎮痛剤」、体の痛みがあれば「鎮痛剤」、咳が続けば「鎮咳薬」…など、その症状を取り除くために市販薬を買い求めて症状を軽くし、少しでも早く快適に生活しようと思うこともあります。
ところが、健康を維持するために服用しているはずの薬が、かえって体に悪さをすることもあります。それは、言うまでもなく「副作用」です。
副作用といえば、誰もが認識していることで驚くような事でもありませんが、「最近、物忘れが増えた」「同じことを何度も聞いてしまう」などの、これって認知症?!と思われるような症状が、手軽に買える市販薬によって引き起こされることがあるかも知れないと聞くと少し驚きませんか?
今年は花粉の飛散量が多いと言われていますが、花粉症をはじめとした抗アレルギー薬を漠然と服用していると、頭がぼんやりしたり、物の名前を思い出せなかったりするなど、認知機能低下に近い症状が現れることもあり、本人は副作用だと気づかないうちにやる気が減退して、仕事に支障をきたすこともあります。最近では眠気の副作用が少ないという薬も市販されていますが、それでも集中力や判断力、作業能率が低下することはあります。
これらの症状は、抗アレルギー剤の「抗ヒスタミン作用」や「抗コリン作用」による影響ですが、「抗コリン作用」により、目のかすみや視力低下といった症状を引き起こすこともあります。
緑内障の初期では自覚症状がほとんどないため、自分が緑内障であると気づいていない方が抗コリン作用を有する薬を飲んだ場合に眼圧が上がってしまうことも考えらます。
抗アレルギー薬の服用後に、「目が重い、目や頭に痛みを感じる」などの症状が現れた場合は、眼圧が上がっている可能性もありますので眼科で受診されることをお勧めします。
最近では、スイッチOTCという医療機関で処方されている薬と同成分の薬も数多く市販されている中で、自分自身で体調を管理するセルフメディケーションという考え方から、自分で薬を選択することも増えていますが、市販薬と言っても注意しなければなりません。
市販薬を選ばれるときには、かかりつけの薬局の薬剤師に薬の飲み合わせを含めて相談されてから選ばれることをお勧めします。