「米国FDAがトランス型脂肪酸摂取を規制」・・・と言っても、そもそも「トランス型脂肪酸」とは、・・・?
脂肪酸とは、脂質を作っている成分で、その科学的構造から二重結合がないものを飽和脂肪酸、二重結合があるものを不飽和脂肪酸と呼んでいます。
その炭素間の二重結合を中心に考えて、水素原子が同じ側にある場合をシス型、反対側にある場合をトランス型といいます。
大豆油やコーン油などに含まれるリノール酸や魚油に含まれるDHAやEPAなどが不飽和脂肪酸になります。いずれも健康に良いというイメージですが、天然の植物性油脂は「シス型脂肪酸」で酸化されやすいという欠点があります。
そこで、一部のシス型不飽和脂肪酸に水素を添加して自然界に稀にしか存在しない「トランス型脂肪酸」に構造を変化させたものを、マーガリンやポテトチップスなどのスナック菓子などや、その他ファーストフード店での揚げ物をカラッとした食感にするために使われている場合があります。
消費者にとっては、酸化されにくく、賞味期限が長くなり、風味も損なわれにくいという利点があり、一見良さそうに思われがちですが、実はトランス型脂肪酸は、天然に存在するシス型脂肪酸と全く性質が異なり、一定量以上を摂取するとLDLコレステロール(悪玉コレステロール)を増加させ、HDLコレステロール(善玉コレステロール)を低下させて、心臓疾患のリスクを高めるなど、むしろ健康によくないことが報告されています。
米国立医学研究所(IOM)によると、トランス型脂肪酸には健康上のメリットはなく、人工トランス型脂肪酸の安全な摂取量というものは存在しないとしています。
そこで、米国食品医薬品局(FDA)は、3年後までには食品への添加を全面的に禁止すると発表しました。
日本では、まだ「トランス型脂肪酸」の使用について何も規制はありませんが、心筋梗塞などの発症リスクを減らしたり、肥満を予防するためにも早急に検討するべきかも知れません。
まずは、ポテトチップスなどのスナック菓子やファーストフード店での揚げ物などの偏った食べすぎに注意するべきと思います。