徐々に、暖かいというより暑いと感じられる日も多くなり、春から夏にかけての食材も、スーパーなどでよく見かけるようになってきました。
和食の定番食材としてこの時期に旬なのが筍です。産地に行くと朝掘り筍が販売されているのをよく見かけます。今回は、春から夏にかけての今が旬となる、筍の健康成分についてご紹介します。
< 筍の特徴的な成分といえば、チロシン >
筍の水煮などを切ってみると、中央のヒダの部分に白い固形のものが残っていることがあります。
これは、チロシンというアミノ酸の一種で、水に溶けにくい性質を持つため、こうして結晶となって筍の内部に残ります。
筍特有のえぐ味は、このチロシンが酸化してできたもので、もちろん食べても害はありません。
チロシンは脳の神経伝達物質の構成要素で、摂取すると集中力を高めるなどの作用があると言われています。また、新陳代謝を活発にし、ホルモンバランスを整えたり、脳内でドーパミンやノルアドレナリンという物質に変換されるといわれています。
ドーパミンはストレスに耐える力、ノルアドレナリンは頭をすっきりさせる力があるため、チロシンを摂取することで「やる気アップ」につながることも期待できます。
< 低カロリー・食物繊維・カリウムでダイエットや生活習慣病予防にも?! >
筍といえば筋っぽい印象があるかもしれませんが、その印象通り、筍には食物繊維が豊富に含まれています。
食物繊維は整腸作用により便秘の症状を改善するほか、血糖値の上昇を防ぎ、コレステロールの排出を促す働きがあり、大腸がんや糖尿病、高血圧、動脈硬化を予防する効果もあります。さらに食物繊維は、胃や腸の中で水分を吸収して膨らみ、満腹感を与える作用によって過食を防ぐことにもなります。
さらに、筍に含まれるカリウムは体内の余分な水分や塩分の排出作用があり、むくみ解消やデトックス効果が期待できるだけでなく、高血圧や動脈硬化などの生活習慣病予防にも良い成分です。
低カロリーな食材でもある筍はダイエットや生活習慣病予防にも有用だと言えるのではないでしょうか。
< 疲労回復にも役立つアノ成分 >
筍には、アスパラギン酸が多く含まれています。栄養ドリンクにも含まれるアスパラギン酸といえば、アスパラガスに含まれる成分として有名ですが、100gあたりの含有量は、実はアスパラガスよりも筍の方が多いんです。
アスパラギン酸は、ミネラルの全身への運搬をスムーズに行なうようにしたり、エネルギー産出に必要な物質を作るのに利用される成分ですので、疲労回復が期待できます。また、筍は野菜の中ではたんぱく質を比較的多く含む食材です。たんぱく質は疲労時には体内で分解されてしまうため、たんぱく質を十分摂っておくことで、筋肉や内臓機能の低下を防ぐことにつながりますので、疲労回復にも役立つのではないでしょうか。
< 筍はおいしく適量をいただきましょう >
筍は掘り出してから時間経過とともに、えぐ味が増していく食材ですので、なるべく早く下処理だけでもしておくことが大切です。皮つきのまま少し切り込みを入れて、米ぬかやお米の砥ぎ汁、最近では重曹と一緒に茹でてアク抜きをするのが一般的です。
旬で美味しいといっても、やはり食べすぎはよくありません。筍は食べ過ぎると消化不良を起こして胃腸に負担がかかってしまう場合があります。また、稀に吹き出物やじんましんなどのアレルギーのような症状を引き起こすこともありますので、高齢者や小さいお子さん、慢性的な喘息などのアレルギーがある方は、特に食べすぎには気をつけてください。
筍は、土佐煮や天ぷら、筍ご飯など、和食を彩る料理などでおいしくいただけます。
色々な調理法で、日本の初夏の味覚を堪能してみてはいかがでしょうか。