お薬の相互作用(飲み合わせなど)や副作用などについて、外用薬(シップ薬や塗り薬、目薬、点鼻薬など)は、内服薬(飲み薬)に比べると「軽く考えてしまう」ことはないでしょうか?
しかし、そこに大きな落とし穴も隠されています。その一例をご紹介いたします。
例えば、生後2ヶ月の赤ちゃんに市販の点鼻薬を使用したところ、ぐったりして呼びかけにも応じなくなり、体温が36度以下まで下がってしまったという症例が報告されています。
これは、点鼻薬に含まれている「硝酸ナファゾリン」という成分が鼻粘膜から吸収されて中毒症状をひき起こしたことが原因と報告されています。
また、目薬で高血圧症の方の血圧が上昇したという例もあります。これは、目から流れ出した目薬の成分が、鼻粘膜から吸収されたためと考えられています。
考えなくても分かることですが、改めて考えてみれば、例えば筋肉痛でシップを貼って痛みが軽減されるという事は、皮膚から薬がきちんと吸収されて作用している結果です。
そのように考えると、外用薬と言っても「薬は薬」ですので、病気を持っている方は特に注意が必要です。
さて、市販のお薬を購入する場合には、持病がある方は点鼻薬などの外用薬を購入するときにも必ず薬剤師に相談してから購入されることをお奨めします。
例えば、高血圧症や糖尿病の方は、鼻炎のお薬や総合風邪薬にも要注意です。
代表的な交感神経刺激剤(エフェドリンやナファゾリンなど)は、鼻炎のお薬や総合風邪薬に配合されていることが多い成分ですが、末梢血管を収縮し心機能を亢進させたり、インスリンの分泌に影響したりするため、血圧を上昇させたり血糖のコントロールを困難にしたりすることが考えられます。
また、漢方薬といえども注意が必要です。
麻黄や甘草が配合されている漢方薬は、血圧を上昇させたり、血糖値のコントロールを
悪くしたりする可能性があります。
その他、抗コリン薬(ロートエキス、ベラドンナ総アルカロイド、スコポラミンなど)は、総合風邪薬や鼻炎薬に配合されていることが多い成分ですが、緑内障の方には眼圧を上昇させるため、前立腺肥大の方には尿閉を発症するため、「禁忌」と言って使用してはいけないことになっています。
さらに、高血圧症や糖尿病で「血圧が高めの方に」や「食後の血糖値が気になる方に」といった「特定保健用食品」(トクホ)を利用している方は、必ず医師や薬剤師に相談されることをお奨めします。例えば、「血圧が高めの方に」という「特定保健用食品」の成分は、お薬のACE阻害薬と同じような作用のものが多くあります。
即ち、もともとACE阻害薬を服用している方は、作用が強くなることも考えられます。
「食後の血糖値が気になる方に」についても同様に、αグルコシターゼ阻害作用の「特定保健用食品」が多く見受けられますが、お薬でもボグリボースなど同じ作用を有するものがあります。
このように、特に持病をお持ちの方は、一般市販薬や特定保健用食品との相互作用に十分注意しなければなりませんので、一般市販薬や特定保健用食品を購入する場合は、医師や薬剤師に相談してから購入しましょう!