人のiPS細胞(人工多能性幹細胞)から、脳内の不要物を取り除く免疫細胞を作製することに成功したと、京都薬科大とシンガポール科学技術研究庁などのチームが発表した。アルツハイマー病などの治療に役立つ可能性があるという。
この免疫細胞は、脳内の「掃除細胞」として知られるミクログリア。アルツハイマー病の原因とされる「アミロイド β 」などの異常たんぱく質を食べ、発症や進行を抑える働きがあると考えられている。
同大の高田和幸准教授(病態生理学)らは、人のiPS細胞から、ミクログリアのもとになる免疫細胞と、神経細胞の2種類を作製。これらの細胞を混ぜて培養するとミクログリアに変化し、試験管内でアミロイドβを食べることも確認した。論文は米科学誌電子版に掲載された。
河本宏・京都大教授(免疫学)の話「様々な病気の治療が期待できる重要な成果だ。人の体内で正常に機能するかどうかは、さらに検証する必要がある」
(2017年7月23日 読売新聞)