脳梗塞(こうそく)の発症後、脳の炎症を起こすたんぱく質を、慶応大の吉村昭彦教授と七田崇助教(免疫学)らのチームが特定した。炎症が起きると脳がはれ、梗塞が広がり病状が悪化する。このたんぱく質の作用を抑えると、梗塞部分が大幅に減少した。同じたんぱく質はヒトにもあり、治療法の開発につながりそうだ。米医学誌ネイチャー・メディシン6月号で発表した。
脳梗塞は年間患者数が96万人、死亡率が高く後遺症が残ることも多い。最初に脳の血管が詰まって神経細胞が壊死した後、周囲の細胞が炎症を起こし、死滅していく。これまでの研究で、最初に壊死した部分で免疫細胞「マクロファージ」が活性化し、炎症を起こすことが知られている。
チームは、マウスの脳の抽出液を調べ、たんぱく質「ペルオキシレドキシン(Prx)」が活性化の引き金と突き止めた。Prxは細胞内で有毒な活性酸素を無毒化するが、壊死した細胞から放出されるとマクロファージに結合し、さらに炎症を起こす別のたんぱく質を作らせていた。
2012.6.19 毎日新聞
コメントを残す