2015年の国内統計データによると、胃がんの死亡率は、肺がん、大腸がんについで第3位となっており、罹患率では、胃がんが最も多くなっています。
胃がんの死亡率を減少させるためには、しっかりとした予防対策をたてること、即ち胃がんリスクを取り除くことと、早期発見・早期治療が鍵を握ると思われます。
今回は、国立がんセンターの津金昌一郎氏が(平成29年12月)に東京都で開かれたセミナーでの講演内容を参考にお伝えいたします。
胃がんリスク要因として確実と見られるのは「ピロリ菌感染」と「喫煙」で、ほぼ確実と見られるのは「塩分の高摂取」、確実とまでいかないが可能性が示唆されているのは「野菜や果物の低摂取」と考えられています。
津金氏によれば、ピロリ菌については、幼児期にピロリ菌を保有する大人から食べ物の口移しなどの感染経路が知られていますが、これは防ぎようのない側面がある一方で、「喫煙」や、「塩分の高摂取」、「野菜や果物の低摂取」については、自分自身の努力によって大いに改善の余地がある習慣であり、とりわけ喫煙は、非喫煙者に比べ胃がんリスクが約1.6倍増加することが知られていますので、禁煙を勧めることが何よりも大切と強調しています。
胃がんの確実なリスク因子である「ピロリ菌感染」の有無については、最近では手軽に自宅で検査できるキットも販売されていますので、病院で検査する時間がない働き盛りの忙しい方などは、検査キットを利用して確認してみる事も有用かも知れません。
小児期については、抗生物質を使用することについて不明な点も多いことから、津金氏はピロリ菌除去については成人になってから判断して行うことが望ましいという私見も述べられています。
また、胃がん予防に対する意識づけをするために、国立がんセンターが作成した、今後10年の胃がん罹患リスクを予測する「診断ツール」を利用することも有用であるとして紹介されています。
一人ひとりが胃がん予防に対してしっかりと意識して、少しでも気になることがあれば早めに受診し、「早期発見・早期治療」につなげて、胃がんでの死亡率が減少していくことを望みます。
★胃がんの予防に気をつけるべき3つの習慣★
(1)禁煙
(2)塩分控えめ
(3)野菜・果物をしっかり摂取