免疫細胞の遺伝子を改変してがんへの攻撃力を高め、急性リンパ性白血病の患者の体内に戻して治療する臨床研究を、名古屋大学が2月から始める。2年後の承認を目指している。
この治療は「CAR―T(カーティ)療法」と呼ばれる。患者本人から免疫細胞の一種のリンパ球を取り出して遺伝子を操作し、白血病細胞を見つけて攻撃しやすくする。
米国で昨年承認され、抗がん剤が効かなかったり、骨髄移植しても再発したりして他の治療法がない患者に効果を上げている。国内では自治医科大学などが臨床試験を進めている。
高額な治療費がネックとなっているが、名古屋大学の手法は、遺伝子の操作でウイルスを使用する代わりに酵素を使うため、従来よりコストを大幅に削減できる可能性があるという。
臨床研究は来年12月までに、1~60歳の難治性の患者12人に実施し、有効性と安全性を確認する。
研究代表者で同大小児科教授の高橋義行さんは「急性リンパ性白血病は子どもに多い病気で、日本の技術を使って安価に治療を提供したい」と話している。
(2018年1月31日 読売新聞)