最近、生活リズムが朝型の人に比べて、夜型の人は早期死亡リスクが10%高く、短命に終わる可能性が高いことを示唆する文献が発表されました。
この研究は、米国ノースウエスタン大学フェインバーグ医学部の神経学准教授らが実施したもので、38~73歳の男女433,268人を対象に6年半追跡調査した結果をまとめたものです。
今回の研究では、何故朝型の人に比べて夜型の人の健康状態が悪くなるのかという理由まで明らかにされていませんが、著者らは最近注目されている体内時計の乱れが一つの原因になっている可能性を
考えています。
「体内時計と社会生活を送るための行動のずれ」によって健康が悪化するという考え方は、夜間に働く勤務者の死亡リスクが高いことなどを示したこれまでの研究でも支持されています。
体内時計といえば、特に最近研究が進められている分野で、私自身もすごく興味がある分野のひとつです。
何故なら、今まであまり知られていなかった薬の効果は、服用時間によって大きく左右される可能性も明らかにされてきたからです。
これらの研究は、九州大学大学院薬学研究科の大渡教授の研究なども有名で、例えば脂質異常症やリウマチなどの痛み止めの薬は夜に飲んだ方が効きやすいという結果などが出ています。
体内時計は、生物時計とも呼ばれ脳内に存在します。ヒトの体内時計の周期は24時間より若干長いため、外界の明暗周期に一致させるシステム(同調機構)があり、それによって時差などの影響にも対応できるようになっています。
人間を含む哺乳類の場合は、網膜から体内時計に直接伝達する機構があり、朝の強い光は体内時計を早める方向に、夜の光は遅らせる方向に働くと言われており、体内時計をリセットするひとつの方法として同じ時間に朝日を浴びると良いと言われています。
体内時計が乱れると、不眠症や高血圧症、肥満、糖尿病などが発症しやすくなると言われています。
健康長寿のためにも、夜型の人は徐々に就床時間を早めて、朝型の生活リズムにあわせるようにする工夫が大切かも知れません。
どうしても仕事などの影響で夜型の生活を送らざるを得ない場合は、健康的な食事や運動、十分な睡眠時間の確保などである程度健康上の問題を回避できると言われています。
健康のためにも可能な限り夜更かしは避けて、規則正しい生活を送り、体内時計の狂いを最小限にとどめることも大切かも知れません。