東京医科歯科大の岡沢均教授(神経病理学)らのチームは、3大認知症の一つである「アルツハイマー病」の遺伝子治療法の開発に乗り出す。マウスの実験では低下した記憶力が回復したとし、論文が英科学誌に掲載された。
アルツハイマー病では、異常なたんぱく質「アミロイド β 」が脳内に蓄積し、神経細胞が死滅する。患者は年々増えており、2025年には高齢者の5人に1人がかかるとされるが、根本的な治療法はまだない。
研究チームは、マウスの脳などを調べ、アミロイドβがたまり始める前に、神経細胞のつなぎめ(シナプス)を作るのを促すたんぱく質が減ることを突き止めた。このたんぱく質を作る遺伝子をアルツハイマー病のマウスに投与したところ、シナプスが正常に作られ、記憶力も回復したという。岡沢教授は「1回の治療で効果が長期間持続することが期待できる」としている。
(2018年10月9日 読売新聞)