京都大の研究チームは、遺伝子の変異でがんになりやすい「遺伝性乳がん卵巣がん症候群」の発症メカニズムを解明したと発表した。女性ホルモン「エストロゲン」が細胞の異常増殖に加え、DNAの切断を促し、相乗作用でがんの発症が高まることを突き止めた。乳がんの5~10%、卵巣がんの10%は遺伝性で、「BRCA1」と呼ばれる遺伝子などの欠損で発症する例が多いとされる。
研究では、BRCA1が機能しないようにしたマウスで実験。エストロゲンを投与したところ、乳腺組織でDNAの切断が約10倍多く起きた。
研究チームの笹沼博之・京大大学院准教授は「現在は遺伝子の変異がある女性について発がん頻度を判断できない。研究が進み、例えば発症が50歳以降と予測できれば、出産後に乳房や卵巣の予防的切除を受けることなども可能になる」としている。
(2018年10月23日 毎日新聞)