12月に入り、そろそろインフルエンザが気になり始める季節となりました。
本年1月号の「くすりの話」でご紹介した塩野義製薬が製造販売する新たな抗インフルエンザ薬「S-033188」が、「ゾフルーザ」という商品名で今シーズンからいよいよ本格的にデビューします。
今までよく処方されていたタミフルが5日間連続して
服用しなければならないことや、イナビルのような
吸入薬の場合は、うまく吸入できたのか確認しづらい
ことがあったのに対して、「ゾフルーザ」は、1回の
内服で治療が完結するため、非常に利便性が高い
ことでも早くも注目されています。
「ゾフルーザ」が注目されているのは、それだけではありません。
既存の抗インフルエンザ薬などでは、インフルエンザウィルスが細胞外に遊離する(出ていく)のを阻害するのに対して、「ゾフルーザ」は細胞内でインフルエンザウィルスそのものが増殖しないようにするという全く異なった作用機序であることも注目されています。
また、現時点では既存の抗インフルエンザ薬よりも副作用が少ないとの報告があります。
ここまで聞くと、「ゾフルーザが一番良いのでは…?」というような印象を受ける方も、多いかも知れませんね。
しかし、既存の薬(タミフル)との羅病期間の比較では、実は同等であるという結果が出ていて、差が見られませんでした。
また、現時点では既存の抗インフルエンザ薬よりも副作用が少ないと言われていますが、今後はまだ報告されていない新たな副作用報告が出てくる可能性もあります。
さらに気になるお薬代金も既存の抗インフルエンザ薬とあまり変わりません。
そのような中、皆様もよくご存知の抗インフルエンザ薬「タミフル」のジェネリック医薬品「オセルタミビル(サワイ)」が今シーズンより発売されましたので、治療費用の観点からみれば「オセルタミビル(サワイ)」も選択肢の一つとして良いかも知れません。
どの薬を使うかは、医師が決めることですので、患者が決めることはできませんが、もし主治医が患者に選択権を与えてくれるようであれば、今回の記事を参考にしていただければと思います。