5月になり、いよいよ陽射しがまぶしい季節になってきました。
夏に美味しい食材の一つに夏野菜がありますが、夏野菜の定番ともいえるトマトの旬は、実は初夏から始まっているのをご存知でしょうか。
もともと高温多湿が苦手なトマトは、真夏に採れるものよりも初夏に採れるもののほうが味が良いとも言われます。今回は5月頃から旬を迎えるトマトの健康成分についてご紹介します。
★トマトといえばやっぱりリコペン(リコピン)
トマトの健康成分で有名なものといえば、リコペンではないでしょうか。
抗酸化作用が強く、生活習慣病やがんの原因ともなる活性酸素を除去する作用、白内障の発症を遅らせたり、皮膚を紫外線から守る作用などがあると考えられています。
リコペンは少量の油と一緒に料理したり、過熱すると吸収されやすくなりますので、リコペンを効率よく摂るには、炒め物やパスタなどはもちろん、サラダにもオリーブオイルやアマニ油などが入ったドレッシングなどを使うのがお勧めです。
このリコペンは、トマトの色である赤色の色素でもあります。真っ赤に熟したトマトほど、このリコペンが多く含まれていますので、スーパーなどでトマトを選ぶ際には色の濃いものを選んでみてはいかがでしょうか。
★もちろん、野菜らしくビタミン類や食物繊維も豊富!
もちろん、トマトにも色々なビタミン類が含まれていますが、多く含まれているのは、視力維持、粘膜や皮膚の健康維持、そして、喉や肺など呼吸器系統を守る働きがあるといわれているビタミンAに体内で変化するβカロテンや、ビタミンC、ビタミンB6などです。
ビタミンCは、ご存知の通り、抗酸化作用の他、風邪の予防や肌の代謝を助ける作用、粘膜の保護、疲労回復などの効果があるとされており、ビタミンB6は脂肪の代謝を円滑にするほか、神経伝達物質の生成に関わり、神経を正常に保つ働きがあります。
さらに、ペクチンという水溶性の食物繊維も多く含まれています。そのため、便秘の解消のほか、老廃物や有害物質を排出する働きを促進するので、生活習慣病の予防にも効果的だといえます。
★夏野菜といわれるのは夏に採れるから?
夏野菜と言われるものには、トマトの他に、きゅうり、なす、ピーマンなどがあります。
夏に多く採れるというのも一つの理由ですが、体を冷やす野菜と言われており、夏の暑さをしのぐのに適していることから、夏によく食べられているというのも一つの理由です。
体を冷やす、と言われる理由の一つが、トマトを含めて夏野菜に含まれているカリウムです。
カリウムは、また、ナトリウムの排出を促して血圧の上昇を抑える働きもあり、高血圧の予防や、筋肉の収縮をスムーズにする働きもあります。更に腎臓に溜まりやすい老廃物の排泄を促す働きもあるといわれています。
夏野菜には水分も多く含まれており、カリウムの他にもマグネシウム、カルシウム、鉄分なども含まれていますので、汗をかくと失いやすいミネラル分の補給にもつながるため、夏に良い野菜と言われています。
※医師などからカリウムの摂取制限などの指示がある場合は、その指示に従ってください
★栄養を摂るのに適した調理方法は?
トマトは、生のまま食べるだけでなく、火を通したり、ソースの材料としても使われるなど、様々な調理法で食べられている野菜です。
リコペンやベータカロテンは、加熱したり油と一緒に調理すると吸収されやすくなりますが、一方でビタミンCは加熱に弱く、生で食べた方が効率的に摂取することができます。
意識して摂取したい栄養素に合わせて、調理法を変えながらトマトのうま味をたくさん味わってみてはいかがでしょうか。