神経難病「パーキンソン病」で、患者の脳に蓄積するたんぱく質の合成を抑制する物質を開発したと、大阪大などのチームが21日、発表した。パーキンソン病を発症するマウスに投与すると、症状が表れにくくなったという。今後、創薬に向け、サルなどの実験を通じて安全性を確かめる。論文が同日、英電子科学誌に掲載された。
患者の脳内では、たんぱく質「α―シヌクレイン」が異常な構造になって蓄積し、神経がダメージを受けている。情報を伝える脳内物質「ドーパミン」の減少を補う対症療法はあったが、根治や予防ができる薬はなかった。
研究チームは、α―シヌクレイン合成の途中段階で作られる伝令RNA(mRNA)に結合し、分解を促す物質(核酸)を作製した。マウスの実験で、α―シヌクレインの量を4~5割程度抑制できたという。
(2019年5月21日 毎日新聞)