最近では8月から9月になっても、厳しい残暑が続きますが、8月と9月は台風の多い時季と思われる方も多いのではないでしょうか。2000年以降の統計を見ると、日本に上陸した台風の数は9月と8月が並んでトップになり、この2ヶ月で一年間に上陸する台風の6割以上を占めています。
これからの時季、まだまだ警戒が必要な台風が原因で、体調を崩すということがあるのはご存知でしょうか。
今回は、本格的な台風シーズンを前に知っておきたい台風と体調の関係についてご紹介します。
★台風と体調の関係性は?
低気圧が近づくと「頭が痛い」「体がだるい」「関節が痛い」といった不調を感じる人はいらっしゃいませんか?これらの不調は、気象病や天気痛などと呼ばれてきました。
こういった気象病に悩む日本人は1000万人にも上るという推計もあり、決して他人事ではありません。
気象病の主な原因は、気圧の変化です。気圧が変化すると、人間の体はストレスを感じるため、それに抵抗しようとして自律神経が活性化されます。自律神経系には、交感神経と副交感神経があり、交感神経は血管を収縮させ、心拍数を上げて体を興奮させる働きがあります。一方、副交感神経は血管を広げて体をリラックスさせる働きがあります。
この交感神経と副交感神経の調整がうまくいかないと、さまざまな体調不良の原因となってしまうのです。
近年は局地的な豪雨などの極端な気象変化が多くなり、気象病を感じる人も増加傾向にあるようです。
台風は強い低気圧ですので気圧が大幅に低く、一般的な低気圧よりも早いスピードで近づいてくることが多いため、急激な気圧の低下を招き、気象病を引き起こすことが十分に考えられます。
★どんな人が気象病になりやすい?
気象病は自律神経の働きが低下することに起因することが多く、様々なことに敏感に反応しやすい人がなりやすいといわれていますが、天気痛外来を開設した愛知医科大学の佐藤純先生は、特に耳が敏感な人がなりやすいのではないかと考えています。
この耳とは、鼓膜の奥にある内耳のことで、内耳で気圧の変化を感じると、その情報が脳に入り自律神経系を
活性化させます。内耳が気圧の変化に過敏になってしまうと、交換神経か副交感神経が過剰に活性化されて
しまい、体調に影響を与えるのではないかと、佐藤先生は考えています。
同じように内耳の敏感さが影響するもので、乗り物酔いがあり、乗り物酔いをしやすい人は、気象病にもなり
やすいと考えられます。また、気温の変化が起こりやすい季節の変わり目に体調を崩しやすい人も、自律神経のバランスが崩れやすいため、気象病になりやすいと考えられます。
交感神経が活発になれば痛みを感じやすくなり、副交感神経が活発になれば体がだるくなったり眠くなったり
します。こういった影響が過剰に起こることで、関節の痛みや頭痛、倦怠感、めまいや耳鳴りなどの体の不調につながります。
★気象病の予防に必要なことは?
内耳や気圧に対しての感覚が敏感であるということは、なかなか変えられるものではありません。
そのため、気象病の予防としては、日ごろから自律神経のバランスを整えておき、自律神経のバランスが大きく崩れないようにすることが大切になります。
そのためには、適度に体を動かし、起床時刻や食事はなるべく毎日同じ時刻にするなど、規則正しい生活心がけたり、栄養バランスや適切な睡眠をとることなど、生活習慣に気をつけることが大切です。
また、耳の血流を良くすることも気象病の予防に役立ちますので、少し耳を引っ張ってみたり、軽くマッサージするなどの方法も手軽にできる気象病予防の一つです。
台風や天候の変化による体調不良は気のせいではありません。体調不良がひどい場合や長引く場合は、医師の診察を受けるなどして、台風や季節の変わり目となる9月の気候変化を上手く乗り切りましょう。