進行した肝臓がん(肝細胞がん)の新しい治療法で、生存期間が2倍近く延ばせるという研究成果を、近畿大などのチームが発表した。肝臓がん患者の大半が進むとされる難治性の「中等度進行がん」が対象で、チームは「近い将来、世界の標準治療になる可能性がある」と期待する。
肝細胞がんは、大小様々の腫瘍が多発することが多く、腫瘍を一つずつなくす局所治療が軸になる。腫瘍が3センチ以下または3個以下の早期がんの場合は、手術などで取り除く。取りきれなければ抗がん剤治療に切り替える。
再発しやすく、患者の9割は中等度進行がん(ステージ2~3)に至る。
この段階では、肝臓に栄養を送る動脈をふさいでがんを「兵糧攻め」にする局所治療を先に行い、抗がん剤を投与するのが世界の標準治療だ。しかし、何度も兵糧攻めをすると肝臓全体が弱り、その後の薬の効き目が落ちる難点があった。
(2019年8月5日 読売新聞)