「医薬品だから大丈夫」、「サプリメントはエビデンスがないからダメ」などのお声を耳にすることが、少なからずあります。特に、医療の専門家からそのようなお声を頂く場合が多いような印象を受けます。
しかし、以前にも別件でお伝えしたことがありますが、一概に「医薬品だから大丈夫」とも言いきれない事例もあります。
もちろん、医薬品に比べてサプリメントはエビデンスに乏しいのは事実ですし、販売業者によっては根拠に乏しいにも関わらず、医薬品のように効能効果を謳って販売している業者も存在することも事実ですので、一般消費者の方がどの程度信頼できる情報なのかを見極めるのが難しいこともあるかも知れません。
一方で、医薬品だから「安全・安心」かと言えば、必ずしもそうとは言えず、医薬品だからこそつきものの
「副作用」の問題も無視できませんし、さらに「今さら・・・」と驚くような事案も結構あるのも事実です。
本日は、「えっ!今さら・・・?」と言いたくなるような回収の事案を2つご紹介します。
まず一つ目は、もう50年前(半世紀前)に発売された「ポリエンホスファチジルコリン」含有の医薬品の自主回収についてですが、50年前に発売された医薬品と聞いただけでも「えっ、今さら回収?」と思いませんか。
この度の自主回収の理由は、もともと使用期限が製造から4年と定められていましたが、この度の長期安定性試験において、36か月経過時に承認規格から一部逸脱している事が判明したため、順次自主回収して使用期限を
3年に変更するというものです。
メーカーからの報告では軽微な事案であるようですが、それにしても発売開始から半世紀も経過するまでなぜ今まで判らなかったのかと疑問を生じてしまうのは私だけでしょうか。
もうひとつは、ラニチジン塩酸塩という成分を含有する医薬品についてです。
いわゆる先発医薬品メーカーが販売する商品も含まれており、メーカーからの情報によれば、もととなる薬の
原料の中にごく少量ではありますが、海外で発がん性物質が検出されたためという理由によるものです。
国内販売の商品については、現在調査中とのことですが、この薬を使用している患者さんは、医療機関や薬局から説明があり、手もとにある薬もすべて回収されることになっています。
しかし、この薬も30年以上前に発売された実績のある薬であることを思うと、それが、なぜ「今さら・・」と感じてしまいます。
皆様は、これらの報道をどのように感じますでしょうか?
私は、必要な薬は必要ですので、自分勝手な判断で服用を中止することはしないで、医師の指示通り服用すべきであり、もし疑問点を生じた場合は医師や薬剤師に相談することが大切と思う一方で、必要以上の向精神薬や不必要なお薬を安易に服用する事は避けるべきと考えます。
これもわかっているようで、案外見落としがちな大きな「落とし穴」となりかねないと感じますが、最近話題になっているポリファーマシー(多剤処方)の問題を正しく、しっかりと理解する事が大切だと思います。