認知症の7割を占めるとされるアルツハイマー病の早期診断を、一滴の血液で可能にする手法を開発したと、名古屋市立大の道川誠教授(神経生化学)らの研究チームが発表した。すでに製品開発を進めているという。
アルツハイマー病では、患者の脳に異常なたんぱく質「アミロイドβ(ベータ)」が蓄積することが知られている。ワクチン療法などの治療法が開発されているが、発症後は効果が限定されるため、早期診断の重要性が指摘されている。診断には脳脊髄液を採取する検査などがあるが、患者の負担が大きかったり、検査できる施設が限られたりするなどの問題がある。
健常者とアルツハイマー病患者などの計72人について、血清などに含まれる物質を比較。患者の髄液や血清では「フロチリン」というたんぱく質の濃度が大幅に低下していることを確認した。アルツハイマー病発症の前段階である軽度認知症でも、フロチリン濃度の低下がみられたという。
(2019年11月6日 朝日新聞)