入れ歯の手入れを毎日はしない65歳以上の高齢者が肺炎を発症するリスクは、毎日手入れをする人より1.3倍高いという研究結果を東北大などのチームが発表した。75歳以上に限ると、リスクは約1.6倍に高まった。高齢者の肺炎は命にかかわるため、入れ歯清掃の重要性が示された形だ。
相田潤・東北大准教授( 口腔衛生学)らは、2016年に行われた高齢者調査の結果を基に、入れ歯をブラシで磨いたり、洗浄液に浸したりする頻度と、過去1年間の肺炎発症との関係を調べた。
その結果、肺炎になる割合は、手入れを毎日する人が2.3%、毎日はしない人は3.0%だった。75歳以上では、毎日する人が2.9%、しない人は4.3%だった。性別などの影響を除くと、毎日は手入れをしない人の肺炎リスクは1.30倍、75歳以上は1.58倍高かった。
入れ歯の清掃が不十分だと、付着した細菌が増殖。唾液や食物と一緒に気管に入ると、肺炎のリスクが高まる。高齢者の場合、のみ込む力の衰えが要因だが、頬周辺のマッサージや発声練習で改善できる。
(2019年11月19日 読売新聞)