6月16日は、6と16の語呂合わせから、麦とろの日として制定されています。栄養価の高い麦とろを食べて夏を乗り切ろうという意味からも、この時期に制定されているのですが、果たしてその健康成分はどうでしょうか。
★麦とろ、最近食べていますか?
ご存じの通り、麦とろごはんは、麦入りの白米にすりおろした山芋(とろろ汁)をかけて食べる料理です。
口当たりが良く、食欲が落ちる暑い季節でもさらっと食べられるため夏バテ解消食としても紹介されることがあります。
麦とろは昔から食べられていたようで、松尾芭蕉の俳句に麦とろが登場し、歌川広重の東海道五十三次の中にも、宿場の名物としてとろろ汁が描かれています。
そして、麦とろに用いられる麦飯は徳川家康が常時食べていたとされているのもよく知られています。当時としては長寿と言われる75歳まで健康に生きることができた、家康の一つの健康の秘訣だとも言われています。
山芋は、生薬ではサンヤク(山薬)と呼ばれ、滋養強壮などのために使われてきました。
その栄養価から、山のウナギと言われ、精のつく食べ物として重宝されてきたようです。
★山芋の健康成分とは
山芋は、イモ類の中でも珍しく生のまま食べられます。良質なたんぱく質やビタミンB群、ビタミンCなどの他、カリウムやマグネシウムなどのミネラルも多く含まれています。
免疫力や日ごろの健康維持には大切なビタミン類だけでなく、高血圧予防やむくみ解消にも良いミネラルも摂れるほか、これから熱中症対策も必要になる季節ですので、良質なたんぱく質を摂っておくことは血液の生成にも役立ち、早めの熱中症対策としてもお勧めです。
そしてネバネバの正体である「ムチン」には、肝臓や腎臓の機能を高める作用などがあると言われており、胃の粘膜保護にも役立つと言われています。
さらに、アミラーゼやジアスターゼなどの消化酵素も多く含まれていて、消化を助ける作用もあるので、胃の調子が気になるときには積極的に山芋を食べたいですね。
★麦ごはんの健康成分とは
お米は日本人の主食として栄養的にもたいへん優れている食品ですが、麦(大麦)はそれを上回る栄養価を持っています。糖質はお米よりもやや少なく、カルシウムは3倍、カリウムは2倍、食物繊維は17倍含んでいます。
食物繊維は「水溶性食物繊維」「不溶性食物繊維」の両方がバランス良く含まれ、食後の血糖値上昇を抑える、血中コレステロールを低下させるなどのことが近年の研究でわかっています。
食物繊維が豊富に含まれていることから、ダイエット食として注目されることも多いですが、それ以外の栄養価も高く、お米に大麦を混ぜるだけで、栄養バランスが簡単にアップします。
中でも大麦に含まれる水溶性食物繊維・βグルカンは、免疫力アップや食後血糖値の上昇抑制や血中コレステロール値を低下させる作用も期待できるので、動脈硬化などの生活習慣病予防や日ごろの健康維持ににも大いに役立つ成分です。
他にビタミンB1やビタミンB2、鉄分といった成分も比較的多めに含有されています。
麦とろの主な2つの食材、山芋と大麦にはそれぞれ健康に役立つ成分が豊富で、夏バテ防止や食欲がない時の栄養食としてもとても優秀な組み合わせです。
とろろを出汁と合わせて麦ごはんにかけたり、卵を落としたり、ねぎやミョウガなどの薬味も加えて様々な味の麦とろを楽みながら、夏の栄養食として、夏バテ予防や夏バテの回復に、ぜひ麦とろを食べてみてはいかがでしょうか。