今年もいよいよ本格的に暑い季節がやってきました。
この時期になると気を付けなければならないのが熱中症ですが、暑い日が続くと熱中症を予防する目的で、水分とミネラル成分の補給ばかりに気をとられがちになります。
しかしそこに気をとられすぎると、思わぬところで落とし穴が待ち構えていることもあります。
容易に理解できるのは、Na、すなわち塩分の取りすぎです。水分とともに塩分補給も大切なのですが、高血圧症の方は塩分の取りすぎは好ましくありません。
その他、患者さんから「この薬はジュースで飲んでも大丈夫?」と聞かれることがあります。
おそらく使用されることが多い高血圧や狭心症の方に使用されているカルシウム拮抗剤や血中コレステロール値を低下させるお薬などで、「グレープフルーツジュースと一緒に飲まないでください」という注意喚起が薬局でなされていることが多いため、どこかで耳にしたことがあるので、気になって質問されるのだと思います。
「グレープフルーツジュースと一緒に飲まないでください」というのは、グレープフルーツに含まれるフラノクマリン類という成分が、お薬を代謝する酵素の作用を妨げて、お薬の効果を増強してしまうことが報告されているからです。
それでは、グレープフルーツジュースだけ飲まなかったら大丈夫かといえば、そうではありません。
夏によく食べたり、ジュースとして飲んだりする八朔や夏みかんなども同じです。
夏場は水分補給として、口当たりの良い柑橘系のジュースを飲んだり、食べたりすることも多いと思いますので、特にご注意ください。
さらには、例えば「リスペリドン」という液体のお薬は、味に特徴があり苦手な方も多いようですが、お茶やコーラと一緒に飲むとリスペリドンの効果がなくなることも知られています。
上記のようなことを踏まえると、お薬を飲むときは、水やぬるま湯が良いのですが、その他の飲み物でお薬を服用するときは、ちょっと意識してあらかじめ薬剤師に聞いておくのもよいかも知れません。
夏場は特にのどが渇いて多くの水分を摂取しがちになりますが、暴飲は体調を崩すきっかけにもなりますので、くれぐれもご注意を!