糖尿病患者さんの中で、血糖値を自己測定されている方は、少なからず穿刺による痛みを伴うほか、医療廃棄物としての処理や測定に伴う費用など負担が大きいものでした。
現在、それらのデメリットを軽減するため、非侵襲性血糖センサーの開発が進んでおり、手のひらサイズまで小型に成功し、実用化が間近になっているようです。
開発に取り組んでいるのは大阪市にあるベンチャー企業で、中赤外線レーザーを指先に照射して毛細血管中の血糖値を測定する仕組みで、センサー部分に指を5秒間あてるだけで血糖値が測定できるとのことです。
健常者を対象とした試験では、血糖自己測定機器による値と相関性が高く、国際標準化機構(ISO)が求める計測精度を満たしており、現在は量産試作を行っている段階だと言います。
今までも非侵襲性血糖測定器の開発は進められていましたが、中赤外線レーザーを使用することにより、血中成分と糖の区別がつきにくいという課題が克服され、一気に開発が進んでいきました。
使用に伴う費用については、現在血糖自己測定器を使用している患者の自己負担額と同程度ではありますが、今後のコストダウンに向けても研究を重ねています。
専用アプリをインストールしたスマートフォンの画面にも表示できるようになり、医師が瞬時にデータを確認できるようになることや、この中赤外線レーザーの波長を変更すれば、理論的に血中中性脂肪値やコレステロール値、アルコール濃度測定などに応用が可能であることから、手軽に使用できてコストが下がれば、さらに健康管理に役立つ機器へと期待が高まってまいります。
今後、臨床試験を積み重ね国の承認を受けて販売を目指しているということですが、1日も早い実用化が待たれます。