最近の研究で、「脳-腸相関」が注目され、腸内細菌叢と全身性疾患との関係も明らかにされつつあります。
例えば、マスコミでも抗アレルギーとして効果が期待できるヨーグルトなどが紹介されていることもありますが、パッケージを確認すると乳酸菌の名称の後に「〇〇株」と明記されています。これは同じ乳酸菌であっても株によって効果が異なることを意味しています。
さて、2024年11月号にて口腔内ケアにおける乳酸菌の有用性についてお伝えさせて頂きました。また、徳島大学病院の医科歯科連携を例にとり、腸内細菌叢の改善と糖尿病改善との関係についても一部紹介させて頂きました。
今回は、乳酸菌は「株」が重要であることをご理解いただく一例として、予防医学分野の先進国であるスウェーデンにて医療用途サプリメントとして研究が進んでいる「L.ロイテリ菌」についてご紹介させて頂きます。
スウェーデンに本社を置く世界トップクラスのバイオテクノロジー企業のBioGaia社では、「L.ロイテリ菌」の様々な菌株について研究を継続して行っています。
まずは「L.ロイテリ菌ATCC PTA 5289株(口腔由来)」については、すでに日本国内でもテレビで紹介され話題になり、一部の歯科医師が推奨されているサプリメントがあります。
臨床報告を含む期待される主な作用として①ミュータンス菌や歯周病菌の抑制によるむし歯・歯周病予防 ②歯肉炎の緩和 ③口臭改善 ④口腔内べたつき緩和などが報告されています。
チュアブルタイプですっきりミント味になっていますので手軽に使用できます。
次に主に医師向けとなっている「L.ロイテリ菌ATCC PTA 6475株」についてですが、
臨床報告を含む期待される主な作用として、①炎症性サイトカインTNF‐αの産生抑制や腸内細菌叢の改善による慢性炎症の改善作用 ②骨密度低下抑制作用 ③体重増加抑制作用 ④テストステロン分泌増加(調整)作用⑤便秘改善作用などの他、ピロリ菌抑制作用や抗アレルギー作用など数多くの有用性が知られています。
その他、「L.ロイテリ菌DSM 17938株(母乳由来)」では、赤ちゃんの夜泣き改善作用や便秘改善作用、感染予防作用などの報告があります。
最近ではきちんと研究されていない菌株の「L.ロイテリ菌」を配合するサプリメントも販売されていますが、このように同じ「L.ロイテリ菌」と言ってもその「菌株」によって作用が異なることがあり、実験や臨床での検証の有無も大切なところと考えられますので、先生方が飲用、または推奨される場合は慎重にご検討ください。