ダチョウの首の動脈を使って、細くて長い人工血管を作ることに、国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)が世界で初めて成功したと、21日発表した。
細い人工血管は、血が固まって詰まるのが問題だったが、ブタに移植しても詰まらなかった。心筋梗塞の治療などに応用が期待される。
心筋梗塞などで、詰まった心臓の動脈を迂回(うかい)させるバイパス手術では、内径2ミリ・メートル以下で長さ10センチ・メートル以上の血管が必要だ。しかし人工血管は、内径4ミリ・メートル以上しか実用化されておらず、患者の胸や太ももの血管が使われている。
同センターの山岡哲二・生体医工学部長らは、食用に飼育されたダチョウから、頸(けい)動脈を採取。ヒトに似たコラーゲンなどからなる管の構造は保ちながら、拒絶反応につながる細胞を取り除いた。内径は2ミリ・メートル、長さ30センチ・メートルになった。その後、内側に、血管の内皮を再生させるたんぱく質のかけら「ペプチド」を並べた。
ブタ4匹の右足の動脈を止め、この人工血管で左足の動脈とつなぐバイパス手術を行うと、いずれも3週間後、管の内側はブタの内皮組織で覆われたため血管は詰まらなかった。
2012.11.22 読売新聞
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