大阪大の永井健治(たけはる)教授らの研究チームは、ウミシイタケというクラゲの仲間が持つ「発光たんぱく質」から、自力で強く光るたんぱく質を開発し、マウスのがん細胞を肉眼で観察することに世界で初めて成功したと発表した。
従来は紫外線などをあてないと、光らせることはできなかった。極微小ながん細胞の検出技術の開発につながる成果という。科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ電子版に掲載された。
生きた細胞中のたんぱく質の動きを観察する目印としては、ノーベル化学賞を受賞した下村脩博士がオワンクラゲから発見した「蛍光たんぱく質」が、医療現場などで用いられている。ただし、光らせるには、紫外線などエネルギーが高い光を当てる必要があった。
チームは、ウミシイタケの自力で弱く光る「発光たんぱく質」に着目。蛍光たんぱく質と結合させ、明るい光を放つ新たなたんぱく質を開発した。このたんぱく質を組み込んだがん細胞をマウスに移植し、暗闇で運動させて観察すると、がん細胞だけが光り、肉眼ではっきり判別できた。
2012.12.15 読売新聞
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