膵臓(すいぞう)がんの手術後、再発予防のために行う抗がん剤治療について、県立静岡がんセンターは23日、標準的に使われている抗がん剤より、消化器がんに広く使われている飲み薬・TS―1(ティーエスワン)のほうが生存率が上がるという臨床試験の結果を公表した。米国臨床腫瘍学会で発表される。
同センターによると、この臨床試験は2007年4月~10年6月、全国33医療機関で、膵臓がんの切除手術を受けた患者385人を対象に実施。現在の標準治療に沿って塩酸ゲムシタビン(製品名ジェムザール)を点滴する患者と、TS―1を飲む患者に分け、状態を調べた。その結果、TS―1は2年生存率が70%で、塩酸ゲムシタビンの53%より17ポイント高かった。再発のない生存期間の目安となる「無再発生存期間中央値」は、塩酸ゲムシタビン11・2か月に対し、TS―1は23・2か月と1年長かった。
副作用をみると、TS―1では、白血球数の減少があった患者が8・5%と、塩酸ゲムシタビンの39%より大幅に少なかった一方、食欲不振や下痢を起こす患者が見られた。
膵臓がんは進行して見つかることが多く、手術で切除できるのは20~30%で、手術しても70%は2年以内に再発するとされる。TS―1は胃がんの標準的治療薬としても使われている。
2013.1.23 読売新聞
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