理化学研究所分子イメージング科学研究センター(神戸市)と岐阜薬科大学などの研究チームは、緑内障となったサルの視神経を磁気共鳴画像装置(MRI)で撮影する方法で、緑内障の進行を予測することに成功した。
研究成果をまとめた論文は先月18日の米国神経科学専門誌の電子版に掲載された。
岐阜薬科大学の嶋澤雅光准教授(薬効解析学)のグループは、日本で一番の失明原因となっている緑内障となった目の眼圧が長期間高い状態にあると視神経などに悪影響を及ぼすことに注目した。人為的に緑内障にさせた5頭のサルの脳をMRIで2年間にわたって調べ、網膜と脳内の視覚野を結ぶ神経がどのように変化するかを分析した。
その結果、眼圧が高くなり時間が経過するほど、正常な神経が壊れ、視神経のダメージが拡大していく相関関係を突き止めた。今回の研究から、眼圧の異常がいつ、どの程度生じたかが判明すれば、脳内の神経が受けるダメージが予測できるという。
嶋澤准教授は「開発した手法を使えば、新しい治療薬や治療法の研究に役立つだけでなく、脳内の神経細胞が劣化する進行性の疾患であるパーキンソン病やアルツハイマー型認知症などの予測にも応用できる」と話している。
2013.2.8 読売新聞
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