免疫力の「若返り」を手助けするたんぱく質を動物実験で発見したと、大阪大などの研究チームが発表した。
加齢による免疫力低下の予防や治療につながる可能性があるという。米専門誌「イミュニティー」電子版に掲載された。
免疫細胞などを生み出す大本になる「造血幹細胞」は、老化とともに免疫を担うリンパ球を作る能力を失っていくが、詳しい仕組みはよく分かっていない。
チームの横田貴史・大阪大助教らは、マウスの造血幹細胞で、加齢とともに「Satb1」というたんぱく質が減少していることを確認。人間で20歳代にあたるマウスの造血幹細胞で、このたんぱく質を通常の20~10倍作るよう遺伝子操作を行ったところ、リンパ球の生成が約100倍に増えた。人間の70歳代にあたるマウスでも、通常の約3倍に増えた。横田助教は「感染症に対する高齢者の免疫力を高める技術開発などにつながれば」と話している。
(2013年6月29日 読売新聞)