医学は日進月歩で進んでいますが、C型肝炎が知られるようになってからまだ20年余りしか経過していないのは意外に感じます。
C型肝炎は、輸血用の血液が整うようになった当時、すでにA型肝炎ウィルス、B型肝炎ウィルスに汚染された血液を排除したにもかかわらず肝炎を発症するケースが相次ぎ、原因不明の肝炎という意味で非A非B型肝炎と呼ばれていました。
やっとC型肝炎ウィルスという新種のウィルスが発見されたのは、1990年ごろのことでした。
その後、2002年にはC型肝炎緊急対策、2009年の肝炎対策基本法成立に結びついたことは記憶に新しいところです。
C型肝炎の怖いところは、急性肝炎を発症した患者のうち、治癒する割合は3割程度しかなく、約7割は慢性肝炎へと移行し、その後は肝硬変、さらには肝がんに進行していき、その間に自覚症状が現れにくいところです。
現在、C型肝炎の治療薬として使用されているインターフェロンが導入されたのは1992年のことで、インターフェロン(IFN)α、IFNβ、遺伝子組み換えIFNなどの医薬品がすでに使用されています。
さらに最近では、IFNの血中濃度を長時間保つペグインターフェロンが開発されました。
また、IFNに加えて抗ウィルス剤の併用によってウィルス学的著効(SRV)率が高まることが知られています。
最近では、ペグインターフェロン、抗ウィルス剤、プロテアーゼ阻害剤を併用した3剤併用療法も行われており、SRV率がさらに高まったという報告があります。
近年、経口抗ウィルス薬の開発が相次ぎ、国内外でインターフェロンを使用せず、経口抗ウィルス薬を組み合わせた治療も一部で行われるようになってきましたが、いわゆるIFNフリー療法は、耐性ウィルスの出現なども危惧されており、特に高発がんリスクのある患者さんは、ただちにインターフェロン療法を開始するべきと考えられています。
C型肝炎治療薬は、今後もどんどん開発されてくることと思われますが、既存の医薬品との組み合わせによって治癒率がさらに上昇することを望みます。