脳卒中を発症した人は、5年以内に自殺や不慮の事故で死亡するリスクが約10倍に増えるとの調査結果を、国立がん研究センターの研究チームがまとめた。海外に、脳卒中から1年以内はうつ病にかかるリスクが高まるとの研究結果があるが、自殺や事故死との関係を調べたのは初めて。
1990年から約20年間、8県の約9万3000人(調査開始時40~69歳)の健康状態を追跡調査した。期間中に512人が自殺し、うち22人は脳卒中を発症していた。発症しなかった人と比べると、発症から5年以内は自殺の危険性が約10倍に上った。5年以降は差がなかった。
また、交通事故や転落、転倒などの「外因死」で亡くなった728人の分析でも、脳卒中から5年以内のリスクは約10倍になった。
分析した国立精神・神経医療研究センターの山内貴史研究員は「脳卒中はまひや言語障害が残ることが多く、発症から数年間は心理的なストレスが大きいと考えられる。事故死が多いのも、後遺症と関係があるのではないか。リハビリ中の精神面のケアが大切だ」と話す。
厚生労働省によると、脳卒中を含む脳血管障害の患者は国内に約120万人。死亡率は下がっている一方、後遺症が残った患者の社会復帰が課題になっている。
(2014年6月26日 毎日新聞)