国立長寿医療研究センターなどの研究チームは、アルツハイマー病の発症前に、原因たんぱく質の状態が分かる血液中の目印を見つけたと発表した。
発症の兆候を少量の血液で見つける可能性につながる成果で、11日付の日本学士院の学術誌に掲載される。
アルツハイマー病は、原因たんぱく質「アミロイドβベータ」が脳内にたまり、脳が萎縮して起こるとされる。アミロイドβが蓄積し始めてから発症までに15~20年要すると考えられている。
脳内のアミロイドβの蓄積を調べるには従来、脊髄に針を刺して脳脊髄液を採取するなど患者の負担が大きかったり、大がかりな画像診断機器が必要だったりするのが課題だった。
今回の研究では血液中の微量のアミロイドβ関連物質の増減を調べることで、脳内のアミロイドβの蓄積を確認できることが判明。アルツハイマー病やそうでない人を含む65~85歳の62人を対象に解析した結果、脳内の画像診断の結果と92%以上の精度で一致した。
同センターの柳沢勝彦・認知症先進医療開発センター長は「0・5ccの血液があれば、発症前のアルツハイマー病の兆候を見つけられる可能性がある。発症予防や治療薬の開発につなげたい」と話している。
(2014年11月11日 読売新聞)