アルツハイマー病の予備軍とされる軽度認知障害の発症を血液成分から判定できる検査法を開発したと、筑波大などの研究チームが発表した。約80%の精度があるという。
アルツハイマー病は、原因たんぱく質「アミロイドβ(ベータ)」が脳内にたまり、神経細胞を傷つけて起こるとされており、認知症の7割を占める。内田和彦同大准教授や朝田隆東京医科歯科大特任教授らは2001~12年、茨城県利根町の住民約900人を対象に発症と、血液成分の関係を調べた。
その結果、軽度認知障害、アルツハイマー病と進むほど、アミロイドβの脳外への排除などに関わるたんぱく質3種類が減ることが判明した。
さらに、この3種類のたんぱく質を測ることで、軽度認知障害を高精度に判別できる検査法を開発。7cc程度の血液を採って調べる。全国約400か所の医療機関で検査を受けられるようにした。保険はきかず、検査費は数万円。
研究チームは「60歳以上で、症状がない人や、物忘れなどの異変に家族が気づいた人に適している。運動や頭の体操など発症予防のプログラムにつなげることにも使える」としている。
(2015年6月28日 読売新聞)