肝硬変や肝臓がんに進む恐れもある非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の子どもを、超音波など2種類の波を用いて簡単に精度よく診断できる手法を開発したと、大阪市立大の徳原大介講師らが発表した。
学校検診での早期発見につながると期待される。論文は米電子版科学誌に掲載された。
NASHは、酒をほとんど飲まない人が発症する脂肪肝炎で、肥満の子どもにも多いとみられる。正確な診断には、脇腹に針を刺して肝臓組織の一部を採取する肝生検が必要で、体の負担が大きかった。
徳原講師らは、超音波などを出す円筒形の器具を腹部に当てて肝臓の状態を調べる最新の診断装置を、1~18歳の214人に使用。この装置は、NASHを判定する指標となる「脂肪の蓄積量」と「肝臓の硬さ」を同時に測定でき、これらのデータを一部の子どもに行った肝生検の評価と比べた結果、NASHを精度よく診断できることがわかったという。
徳原講師は「検査は数分で済む。学校の検診に取り入れることで、早期発見につなげられる」と話す。
(2015年10月4日 毎日新聞)