慈恵医大病院(東京都港区)は、前立腺がんを凍らせて壊死させる臨床研究を始めたことを明らかにした。
同病院によると国内初の臨床研究で、今後1年以内に5人程度の患者に行い、安全性や有効性を確かめ、国の先進医療に申請したい考えだ。
前立腺は精液の一部を作る臓器で、骨盤内にある。凍結療法は、患者の肛門付近から細長い特殊な針をがん細胞の近くに数本刺し、凍結用のガスを注入して行う。がん細胞をマイナス40度に冷却して壊死させる。
今月1日に1例目を実施した臨床研究は、最初に放射線治療を行った後、前立腺内にがんが再発した患者が対象になる。こうした患者には現在、前立腺がんの発症に関わる男性ホルモンの分泌や働きを薬で抑えるホルモン療法が行われている。だが、薬を使用し続けると骨粗しょう症や糖尿病、脳梗塞、心筋梗塞といった重い副作用が出る恐れがある。
凍結療法を行う慈恵医大泌尿器科の三木健太講師は「安全性と有効性が確認できれば、ホルモン療法を行わなくて済む患者が増える可能性があり、治療の選択肢が広がる」と説明する。
(2015年10月5日 読売新聞)