私たち薬剤師は、カルシウム拮抗剤と呼ばれる降圧剤の服薬時の注意事項として、「グレープフルーツジュースと一緒に服用しないで下さい」とお伝えすることがあります。
これは、肝臓や小腸に存在する薬物代謝酵素チトクロムP450(CYP3A4)を不活性化することにより、この酵素で代謝されるお薬(例えば、カルシウム拮抗剤)の血中濃度が上がってしまい、薬が効きすぎることがあるからです。
しかし、注意するのはグレープフルーツジュースだけで良いのかといえば、もちろんそうではありません。例えば、グレープフルーツ果実を薬の服用直前に摂取した場合はもちろん、グレープフルーツと同じかんきつ類の「はっさく」や「ザボン」などもCYP3A4を阻害することがわかっていますので注意が必要です。
これらのかんきつ類の中でも、特にグレープフルーツがCYP3A4の活性を強く阻害するといわれていますが、その作用には、個人差があります。
一方、フェキソフェナジン塩酸塩(商品名;アレグラなど)やアテノロール(商品名;テノーミンなど)等は、グレープフルーツやりんごなどと一緒に服用すると逆に作用が弱くなることも知られています。
このように食品とお薬の相互作用について知られている場合は予め注意できますが、まだまだ日常生活における食品や飲料とお薬の相互作用について、現時点で知られていないこともありますので、薬を服用するときには、お水かぬるま湯で服用することを原則としていただきたく思います。
もし、お水やぬるま湯で服用できなかった場合で、体調に変化が現れた場合は、貴重な報告になる場合もありますので、必ず医師や薬剤師にお伝えいただけますようお願いします。