愛知県がんセンター愛知病院や名古屋大学などの研究グループは9日、血液からがん細胞を生きたまま分離し、回収する新装置を開発した、と発表した。
新装置を活用すれば、がんの転移の早期発見につながることが期待されるという。
がん細胞は血液を通じて移動し、血管の内側の皮膚に潜り込んで転移する。血液中を流れるがん細胞を分離、回収することができれば、転移がんの早期発見や抗がん剤の治療効果の検証などにつながるが、血液中の細胞のうち、がん細胞は約6億分の1と数が極めて少ないため、検出装置の開発はあまり進んでこなかった。
グループでは、血液中の赤血球、血小板などとがん細胞の大きさの差に着目し、分離回収技術を開発。極小の凹凸のついたシリコーンゴム製のチップに血液を流すことで、界面張力によってがん細胞のみを分離し、回収することが可能となった。マウスを使った実験では、90%のがん細胞を見つけることができたという。
新装置を使った検査では5ミリ・リットルの採血で済み、従来の臓器などに針を直接指してがん細胞の有無を調べる検査に比べて、患者の負担も小さい。グループは装置の精度をさらに高めるよう研究を続けるという。
(2015年10月13日 読売新聞)