食物アレルギーの診断や重症度の判定につながる尿に含まれる物質を、東京大や国立成育医療研究センターのチームが見つけた。従来は血液検査などで診断していたが、患者は乳幼児が多く、採血は負担が大きい。今後、尿を調べてアレルギーの有無や重症度などを判定する検査キットの開発を進めるという。
食物アレルギーは、牛乳や卵、小麦などの食べ物に含まれるたんぱく質に反応し、じんましんや腹痛、下痢などの症状を引き起こす。日本人の有病率は1~2%程度とされるが、乳幼児は5~10%と高い。
チームは、食物アレルギーを起こす原因となる免疫細胞が大量に作り出す「PGD2」と呼ばれる脂質に注目。動物実験で、食物アレルギーの症状が悪化するほど、尿中に含まれるPGD2が分解してできた物質の量が増えることが分かった。
さらに、2014年と15年に同センターを受診した約140人の子どもの尿を調べた結果、症状の重い子どもほど、この物質の量が多かった。この物質は、ぜんそくや鼻炎など他のアレルギーの病気との関連はないとみられるという。
村田幸久・東京大准教授(薬理学・免疫学)は「尿中の物質ではアレルギーの原因食品は分からないが、乳児のオムツの尿からも検出できる可能性があり、早期の診断ができそうだ」と話す。
(2016年8月17日 毎日新聞)